読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

水の中のナイフ キツネ-3-  追記:ポーランド映画祭のパンフ

イヌとカササギの物語

 

キツネを拾う

イヌ(アンジェイ)とカササギ(クリスティーナ)は週末を湖ですごすために、車を走らせている。途中ヒッチハイクの若き青年、キツネを乗せてやる。キツネは普段乗せてもらうトラックが週末は走らないため困っていた。

イヌは湖にヨットを所有している。成功したスポーツ記者で、若く美しい妻と裕福な暮らしを送っている。気紛れからキツネをヨットクルージングに誘う。一晩ヨットで一緒に過ごし、キツネは翌朝発つということに決まった。

 

密室の三人

イヌとカササギ夫妻はキツネに親切だ。イヌはヨットに精通しており、操縦の基本をキツネに教えるが、どことなく尊大な命令口調であるのは否めない。キツネの未熟さ、性急さ、素朴、無知、粗削りなところを見ては優越感に浸るイヌ。

カササギは落ち着いた肉感的な女性で、忠実な妻でありキツネにも優しい。

キツネもクルージングを満喫している様子。ただ、泳げないからと言って水には入らないが。食事や酒を楽しみ、船乗りがよくやるという、棒を一本ずつ抜いていくゲームをして夜のひとときを過ごす。

キツネはナイフを持っている。折りたたみ式の美しいナイフ。宝物のように大切にしている。森の中など徒歩で移動するには、藪を開いたり、ものを切ったりするのに不可欠なものだ。キツネはナイフゲーム(*)をしてみせる。広げた指の間を次々に高速で刺していく遊びだ。

ナイフは話の中で何度も登場する小道具で、不安と緊張と暗示をもたらす。

Knife game - Wikipedia

 

ドラマ

朝まだきの湖畔。カササギはヨットの上に出て座っている。キツネも目が覚めてそこへ出てきた。しばし言葉をかわす二人。

遅れて目が覚めたイヌは二人がいないことに気づく。ナイフが見える。それを隠す。

それから外で二人と合流する。イヌの心にさざ波がたつ。気に入らないのだ。なんで妻と二人でいる?小ばかにしやがって。ボスは俺だぞ。メンツ丸つぶれだ。怒りと嫉妬が膨らむ。

キツネに甲板掃除を言いつける。キツネは戸惑いながらも従う。急に主人面をしてキツネを顎で使い始めたイヌに対し、カササギは反発する。

キツネがヨットを降りるときが来た。しかしナイフがない。ナイフを返してくれとイヌに言う。イヌは嘲るようにポケットから取り出し、笑いながら取ってみろと挑発する。カササギはイヌの子供じみた意地悪な仕打ちに腹をたてている。

ナイフが手から落ちて水の中へ。なじるキツネ。高笑いするイヌ。キツネがイヌになぐりかかる。が、イヌのパンチを受けてキツネは湖にどぼんと落ちてしまう。

キツネは泳げないのだ。カササギは心配する。二人で水に飛び込んで探すが、キツネを見つけることはできなかった。ヨットに戻った二人は一気に感情を爆発させる。これまでのマンネリ化した穏やかさはどこへ。カササギは一気に批判や不満を吐露する。特にイヌが、どうせこのまま隠しても誰にもわからないだろう、と言い、キツネの手荷物を水に放り投げようとしたときは…。

結局イヌは警察に連絡することにし、岸まで泳ぎ出した。その一部始終をブイにつかまって見ていたキツネは、悠然と泳いでヨットに戻る。そう、泳げたのだ。

カササギはキツネの頬をたたく。その後、二人のやりとりを通して、キツネの身上と、かつては貧しく苦労したイヌとカササギの過去が明らかになる。

どちらからともなく唇を重ねる二人。そうして二人で船室へ。

 

イヌ

カササギはヨットを岸辺につけ、そこでキツネを降ろし、すぐさまイヌが待つ桟橋へ向かう。イヌは泳ぎ着いてそこで待っていた。裸では警察に行けないから。

車を走らせると、目の前に「警察署」の案内板が見えてきた。カササギはUターンして、とイヌに言う。

ーキツネは生きていたの。ちゃんと泳げたのよ。彼が戻ってきてから、一緒にあなたの名前を大声で呼んだけど届かなかった。わたし、浮気したわ。

カササギの言葉を信じないイヌ。

ー君の言葉を信じて家にもどり、明日、新聞を開くと「若者の水死体が…」という記事を見るんじゃないか。

本当の話だといっても、なかなかイヌは信じようとしない。イヌは警察に行くのか、行かないのか…わからないまま、この話は終わる。

「margaret wild fox」の画像検索結果

http://readingaustralia.com.au/lesson/fox/

 

マミーさん、shellさんのコメントを読んで、思い出しました。これは映画『水の中のナイフ』です。登場人物はたったの三人。場所は湖のヨット。密室ならぬ密船劇です。

サスペンスと画像の美しさ。30年くらい前に「ポーランド映画祭」で見たのですが、今も忘れられません。

 

『水の中のナイフ』(Nóż w wodzie):ロマン・ポランスキー監督・脚本による1962年ポーランド映画ポランスキー監督の衝撃デビュー作品。アカデミー外国語映画賞ノミネート。波瀾万丈の人生はこちらで。

ロマン・ポランスキー - Wikipedia

 

写真を載せておきます。

f:id:cenecio:20161229104818j:plainf:id:cenecio:20161229104830p:plain

Nóż w wodzie (1961). Roman Polański – Toster Pandory

http://szczere-recenzje.blog.onet.pl/2011/04/17/146-noz-w-wodzie-knife-in-the-water-1961/

f:id:cenecio:20161229104840j:plain

f:id:cenecio:20161229105157p:plainf:id:cenecio:20161229105212p:plain

http://film.onet.pl/noz-w-wodzie

f:id:cenecio:20161229105445p:plain

ロケ地の湖、現在の様子。ウィキペデアから。

 

終わり

 

追記:2017年1月

ポーランド 映画祭パンフレット

片づけをしていたら見つかりました。とってあるとは思っていなかったので感激しました。

f:id:cenecio:20170104114106j:plain

上の写真

右:1979年

左:1981年

 

下の写真

『水の中のナイフ』解説

f:id:cenecio:20170104114110j:plain