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ハンス・フィッシャーのメルヘンビルダー 

メルヘンビルダーってなに?

今日はこの辺をちょこっとお話したい。というのもこんな本 『フィッシャーが描いたグリムの昔話 メルヘンビルダー』を出せる日本ってすごいな、と素直に感心してしまうのです。(うちの本ではなく、夏休みの図書館で見つけた印象深い絵本の一冊です)

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フィッシャーが描いたグリムの昔話 メルヘンビルダー

絵: ハンス・フィッシャー
文: グリム
訳: 佐々 梨代子 野村 泫
出版社: こぐま社    発行日: 2013年07月01日

 

挿絵画家ハンス・フィッシャーは以前「長ぐつをはいたねこ」で紹介しました。 『こねこのぴっち』のほうが、キャラクター製品が数多く出ているから有名だと思います。

 

cenecio.hateblo.jp

 一枚絵

メルヘンビルダー とは、メルヘン=おとぎ話、ビルダー=絵という意味。

ひとつのお話の始まりから終わりまでが一枚の絵にギュッと固めて描かれるものです。ヨーロッパには15世紀くらいからあって、キリスト教の教えや昔話、伝説や世界の不思議な話などが、新聞くらいの大きさの紙に刷られ、字が読めない民衆にも絵で楽しめることから広く親しまれていました。

印刷技術の進歩とともに発展をとげ、19世紀のドイツで頂点を迎えます。木版画の「ミュンヘン一枚絵」(Muenchener Bilderbogen)と呼ばれるものが有名で、芸術性も高く、後世にも大きな影響を与えました。

 

 たとえば「長ぐつをはいたねこ」です。出典:ウィキペディアhttps://commons.wikimedia.org/wiki/Category:M%C3%BCnchener_Bilderbogen?uselang=de

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こちらは 「田舎のネズミと町のネズミ」。

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(作者、年号など解説はつけませんので、 詳しくはウィキペディア参照)

 

 こうした一枚絵を、現代人のハンス・フィッシャーがグリム童話を題材にやってくれたわけです。

こちらがその原書。

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Märchenbilder 7 Märchen d. Brüder Grimm, gezeichnet

絵: Hans Fischer
出版社: Zürich Stuttgart Artemis Verl. 

雑誌に連載していたものをまとめて1961年にスイスで出版されました。そして日本の翻訳版には、原書にない絵も収録され、詳しい解説も巻末につけて、大人も子供も楽しめるような形で出版されるという、なんとも贅沢な本になっています。

 

表紙の絵は 「ヘンゼルとグレーテル」ですね。よく見てみましょう。

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真ん中のお菓子の家とお婆さんがすぐに目につきます。その周囲にお話が描きこまれていますね。既に話を知っているので、フィッシャーがどんな描き方をするか、大人としては興味しんしんです。


「うさぎとはりねずみ」はこんなふう。(左がちょっと切れてしまってすみません)

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ユーモラスですね。ウサギは走りつかれて死んでしまうのですが。

もちろんテキストも2~3ページほどついています。

これがまたすごくいいテンポの語りで、子供たちはきっと喜ぶでしょう。

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商品|こぐま社

「長ぐつをはいた雄ねこ」は真ん中にどんと猫を置くあたり、意表をつきます。

 

他にも次の作品が収められています。
・「おぜんよ、したく」と 金出しろば と「こん棒、出ろ」
・おおかみと七ひきの子やぎ
・しあわせハンス
・ならずもの
・七羽のからす 


 最後にこんな展覧会もあったんですね。

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 調べ物をしていたら見つかりました。5年前、7月2日(土)~7月31日(日)、神戸ファッション美術館エントランスギャラリーで開催された

「一枚絵」によるグリム童話の世界―19世紀ヨーロッパの手彩色版画展―

行けた人はラッキーでした。