読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

熊とにんげん Der bär und die leute (Reiner Zimnik)

チムニクの老成ぶり、恐るべし、の巻です。

f:id:cenecio:20160607101205p:plain

 

熊とにんげん (新しい翻訳童話)  – 1982年
ライナー=チムニク (著, イラスト), 上田 真而子 (翻訳) 偕成社

 

f:id:cenecio:20160623135942p:plain

 

 熊を連れた熊おじさんメドウィーチという名前の熊(ロシア語で「熊」の意味)が主人公。

熊おじさんには友達がふたりいた。熊と神さまである。

おじさんは鉄のフライパンと、ひとつの音しか出ない角笛と、まりを七つ持っていた。おじさんは熊のことばがわかり、心根がよく、それから七つのまりでお手玉ができる。

熊は茶色、おどりができた。手回しオルガンにあわせて、後足で立ち、音楽にあわせて踊った。

旅をしながら芸を見せて暮らしていくが、悪辣なサーカス団にからまれ、乱闘になったり、野犬の大集団に襲われたり、と様々なことが起こる。

 

私が好きなのは、ストーリー展開のほか、合間に挟まれる自然描写だ。筋とはなんの関係もないが、実にいい。いかにもライナー=チムニクらしい。

ちょっとスキャンしてみよう。

 

f:id:cenecio:20160624185935j:plain

f:id:cenecio:20160624185943j:plain

f:id:cenecio:20160624185951j:plain

今度は56ページの絵だけ拡大する。

f:id:cenecio:20160624190000j:plain

自然を愛するお茶目なふたり。小さな子供たちとなんら変わらない。

 

でもある夜、泉のほとりで休んでいるとき、おじさんが自分の角笛を、銀の鎖ごと熊の首にかけてやる。

「この角笛を持っていると、きっといいことがあるからな」

熊が寝入ってしまうと、おじさんはそのあと、だいぶ長いあいだ、友だちである神さまとはなしをした。

f:id:cenecio:20160624190449j:plain

おじさんはなくなってしまい、熊はひとりぼっちになる。

そのあと熊は人間に虐待されたり、森の熊の群れに入ろうと試みたり、でも最後には小さな男の子と知り合いになって・・・。さてどうなるでしょうか。

 

読み聞かせ 

100ページあるので、読み聞かせはちょっと大変かな。2~3回に分けるとか。

もちろん子供が自分で読んでくれればいいけれど、さぴこさんのお嬢さんみたいに、「絵にも集中したい」なら、やっぱり聞きなれたお母さんの声で読んであげたらいいと思う。

 

チムニクって人は!

この本を書いたのは美術アカデミー在学中の24歳だったというからあきれる。

私はてっきり人生の終わりにさしかかった人の作品だと思っていた。どれだけ老成した青年だったのだろう。

生きとし生けるものを見つめる温かい眼やユーモア感覚が図抜けている。

本当に不思議な人だ。

 

 

 同じ作者の別の本

cenecio.hateblo.jp