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かさ 太田大八

日本 ベルギー

f:id:cenecio:20160621144227p:plainかさ(絵本)

作・絵: 太田 大八
出版社: 文研出版

 

字のない絵本。モノクロで、女の子の持つ傘だけが赤い。

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よく見ると大人用の黒い傘を持っています。

ははあ、お父さんのお迎えかな。

道すがらいろいろなことに出会います。

(全部の絵を載せることはできません)

子ガモを率いた親鳥二羽が川を渡っていたり、

お友達の男の子とそのお母さんと会ったり、

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犬に水をかけられたりもします。

陸橋をわたって、

洋菓子店の前を通って(うーん、おいしそう!)、

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歩道橋をわたって

おもちゃ屋さんの前でしばし立ち止まって、

横断歩道をわたります。

駅が見えてきました。

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おとうさん、おかえりなさい。はい、かさだよ。

ああ、よかった!お役目をちゃんと果たせたね。読み手もほっとします。

赤い傘に導かれ、共感を持ってここまでやってきたのですから。

事故にあったり道草をくうなんてこともなかった。

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かえりにさっきの洋菓子店でケーキを買ってもらいます。

お迎えのごほうびですね。

帰り道、女の子は傘をさしません。赤い傘はお父さんの手に。

だって女の子はケーキの箱を持っているのです。それでお父さんの大きな黒い傘に入ってゆっくり歩いて帰ります。

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話はこれで終わりです。

絵だけなので、女の子の心情を想像しながら読み進めることができます。

 

つらい話に飛びますが、赤、ですぐ思い浮かべるのは、あの赤い服の少女。

映画「シンドラーのリスト」(Schindler's List  1993)の少女です。

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乗馬中の主人公シンドラーはずっと目で追っている。恋人の女性に行きましょう、と促されてもあの子から目を離すことができない。不条理にもあそこに集められ、殺されていく名もない群衆(ユダヤ人)からぽっかり少女だけが赤い服によって浮き上がる。だけどモノクロの群衆にだって、一人一人に名前があり、人生があるのだ。

少女は死んで運ばれていく。シンドラーが救えたかもしれない命だった。シンドラーがその後、ユダヤ人を救うべく、知恵を絞り奮闘するきっかけとなる重要なシーンである。(記憶違いもあるかもしれません)  (終わり)

 

 追記:訃報

 

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(写真:ブリュッセル。オランダ語図書館の2階の窓から撮影。 2016年3月)