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みんな~!!(訂正:12月19日)

そのほか

こんにちは、みなさん!

今日は本の話ではなく、ちょっとお話したいこと。

 

二カ月も更新しないと、まず一か月目にはてなさんからメールがきます。「そろそろ記事を書きませんか。何でもいいですよ」といって、こんなお題はいかが、と提案してくれます。親切にありがとうございます。

しかし、このブログは我が家にある絵本・児童書の一覧であって、いずれこのまま子供たちに渡すつもりなんです。そして結婚して子供が生まれたら「どれどれ、どんな本がうちにあるかな。どんな本を読んでもらったかな」と捜せるように。ほしい本は買ったり借りたりして、もし本人にやる気があるなら、このブログを継いでもらうこともできるし…。そんな壮大な(?)ことを考えて、これまでメモのように書きつけてきました。

ですが、忙しくなると、メインのブログだけで手いっぱいで、旅行などすると時間も本当になくなるので、なかなか難しいですね。みなさんもそうじゃありませんか。

まあ、今後もマイペースで行くのですが、みなさまにお知らせとして申し上げたいことは、☆ボタン、コメント欄を外したということです。今まで本当にありがとう。これからはどうぞお気遣いなくね。

…って、そうじゃないでしょ!これからもみなさんのブログは訪問させてもらうので、またよろしくお願いしますね。

 

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11月11日は酉の市でした。浅草へ行ってきました。

 

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写真中央:ヒラリーとトランプ両氏の熊手がありました。

 

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私もみなさんのしあわせをいつも祈っています。

 

新しい生活を始める人、悩みや問題を抱えている人、先行きの不安な人・・・みんな、心から応援しています。思い切って前に一歩踏み出したほうがいいよね。あとで後悔するよりは。

 

このブログを始めておもしろいと思ったことをいくつか書いてみますね。

ここには95%以上の比率でgoogleか yahoo検索でやってきます。どの記事に来るかを見るのは興味深いことだし、記事を一本も書いていない、ここ二カ月の間にも、毎日訪問があるというのもおもしろいです。

 

毎日、幾度も参照される記事は、5月に書いたこの記事です。

 

cenecio.hateblo.jp

LPレコードをどこにやったか、今でもわからなくて残念です。再度聴いて、感想も載せようと思ったのですが。絵本のすばらしさ、高中正義のファンの多さを物語ると思います。

 

cenecio.hateblo.jp

「かさ」という絵本の記事に、ある日、集中的にアクセスがありました。なぜだろう、と調べてみたら、作家の太田大八さんが亡くなったのでした。8月2日のことでした。

間一髪で広島原爆を免れた人で、翌日惨状を目にしたそうです。「子どもの本・九条の会」の代表も務めていました。

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続きは下の絵本学会サイトで。

http://www.ehongakkai.com/cn10/cn17/pg356.html

 

ほかにもいろいろあるんですが、最後にひとつだけ。

訪問してくれる人の国籍がさまざまだということ。このブログのカテゴリーにある国々の人たちですね。

たとえばハンガリー人は「日本人がラチのことを書いているぞ。ちょっとのぞいてやろう」と思っているのです。

cenecio.hateblo.jp

 

日本語のブログなのにどうしてか。

それは私にはよくわかります。画像検索を利用しているのです。私も翻訳などで調べ物をするとき、ものによってはまず画像を見ます。文章を読むより捜しているものにピンポイントで当たることが多いです。それからそのサイトへいって記事を読んでいます。

以前、オランダの銀食器メーカー(建物が指定文化財)を調べていたときのことです。内部のようすが知りたくて見ていたら、写真が三枚も見つかり、とても参考になりました。その建物を修復工事した企業のHP内に入りこんでいて、before&after的な写真を載せているページに当たったわけです。

画像検索とgooglemapにはどれだけ助けられているか、わからないほどです。

 

ではきょうはこの辺でね。

次回は絵本をやります。

今日もありがとうございました。

 

(訂正:12月19日)

このメモみたいなブログに「読者さん」がいること自体不思議なんですが、最近増えたようなので、はてなスターとコメント欄を復活させました。

今後ともよろしくお願いいたします。

出久根育「あめふらし」Das Meerhäschen-下-  

ドイツ 日本

前回のグリム童話 Das Meerhäschen-上-の続きです。

 

魚の腹の中に隠れたつもりの若者ですが、王女は12番目の窓からのぞき、とうとう見つけ出してしまいました。

テキストを読めますね。

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王女の頭、髪型というべきか、いつもシュールです。王女はこの国で絶対的権威だからどんな髪型もゆるされるのかな。

 

若者のチャンスはあと一回。

キツネのところに行きます。これが最後です。キツネにはアイディアがありました。

一緒にまほうの泉に行き、中に潜りました。キツネは、動物を商う市場の商人に化けました。

若者も水の中をくぐらされ、小さなあめふらしに変身させられました。

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商人に化けたキツネは町に出かけていき、この可愛らしい生き物を見世物にしました。たくさんの人が集まってきて、王女も見物にやってきました。王女はあめふらしが気に入り、買い取ることにしました。商人はすばやく若者に耳打ちしました。

「王女が窓のそばによったとき、いそいで彼女の髪の中にもぐりこむんですよ」

 

いよいよ王女が若者をさがす時が来ました。12番目の窓まできても見つからないので、王女は不安と腹立たしさでいっぱいになって、窓をたたきつけ、ガラスは粉々になってしまいました。

ふと髪に手をやると、あめふらしがそこにいるではありませんか。あめふらしをつかんで、ゆかになげつけ、

「わたしの見えないところにいっておしまい」

 

 若者は泉に飛び込み、もとの姿にもどりました。そしてお城にむかいました。

結婚式がとりおこなわれました。

王女は夫がみんな自分の才覚でやったものと思い、夫を自分より優れた者だと信じて疑いませんでした。

 

お話はここで終わり。

おまけに こんな絵がついています。

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 子どもたちがあめふらしをつついて遊んでいます。

 

挿絵を描いた人

Iku Dekune / 出久根育

f:id:cenecio:20160906151552p:plain出品作家1 A-L / handtohand311

1969年東京都生まれ。絵本作家、銅版画家。1992年 武蔵野美術大学油絵科・版画専攻卒業。主に子ども の本のイラストレーションを制作。1994年に自身作の 物語に絵をつけた最初の絵本『おふろ』(学習研究 社)が出版される。以後、多くの本の挿絵を描く。 2011年にはチェコの出版社による、カレル・ヤロミ ール・エルベンのおとぎ話集の挿絵を手がける。 2002年よりチェコ、プラハ在住。
主な受賞歴 2003年 グリム童話『あめふらし』(パロル舎)で、ブラ チスラバ国際絵本原画ビエンナーレ、グランプリ 2006年 『マーシャと白い鳥』(ミハエル・ブラートフ/ 作 偕成社)で、日本絵本賞大賞
展覧会歴(グループ展、個展) ギャラリー巷房(東京、銀座)にて、版画やタブロー の個展を定期的に開く。また、ドイツやチェコ各地に
おいても開催。 1998年ボローニャ国際絵本原画展に参加 2004年ボローニャ国際絵本原画展招待作家として、 ボローニャにて特別展と、この年のカタログの表紙絵 を描く
主な作品 『はるさんがきた』(越智典子/作 鈴木出版) 『ワニ』(梨木香歩/作 理論社) 『郵便配達マルコの長い旅』(天沼春樹/作 毎日 新聞社) 『わたしたちの帽子』(たかどのほうこ/作 フレーベ ル館)
『マーシャと白い鳥』 『おふとんのくにのこびとたち』(越智典子/作 偕成 社) 『十二の月たち』(ボジェナ・ニェムツォヴァー/再話 偕成社)

f:id:cenecio:20160906151917p:plain自画像

出久根育『おふとんのくにの こびとたち』原画展開催&インタビューです。 | メルヘンハウス

 

 出久根さんは今では世界的に活躍する有名な絵本作家ですが、ある人との出会いを抜きには語れません。それはスロヴァキアの絵本画家ドゥシャン・カーライです。この人のもとで学び、刺激を受けたことで出久根さんというアーティストが生まれたといってもいいでしょう。

こちら、ドゥシャン・カーライの代表作のひとつ、

不思議の国のアリスです。

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ドゥシャン・カーライは、40歳で国際アンデルセン賞画家賞を、当時のチェコスロヴァキア共和国で初めてもらいました。スロヴァキアの首都ブラチスラヴァの美術アカデミーで教えています。日本にも1990年代から何度も来ており、講座で指導したりして若い画家を育てています。

 

さて次回も出久根さんの作品です。

『あめふらし』は、木のパネルに油彩でしたが、今度はテンペラ技法で描いた絵本です。全く違う雰囲気で、一目見ただけでは同じ作家と気づかなかったほどです。

 

 

おまけ 

出久根さんマスキングテープ、人気です | 教文館ナルニア国

 

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ほしいな♡

でも品切れらしい。

出久根育の「あめふらし」 Das Meerhäschen-上-

日本 ドイツ

一度見たら絶対に忘れられない絵。

ことばにならない強烈な印象を残します。しかもグリム童話? えっ、あめふらし?

 絵を描いているのは 出久根育(でくね いく)さんという、プラハ在住の女性のかた。(詳しい紹介はあとのほうで)

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この本がパロル舎から出たのは2001年ですが、私が出会ったのはその10年後。

出会えてよかったな。これも日本経済新聞の記事のおかげでした。

記事は 今でも大切にとってあります。

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バスタブに魚、そして縁に立つ赤い服の少年。

バスタブ!?

なんなんだ、この世界は。 衝撃のあまり、すぐさま絵本を買い求めました。

新聞記事は原画を使っているから平らですが、同じ絵が絵本ではこうなります。

でも色がびっくりするほど深くて美しい。

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この「あめふらし」で、出久根育さんは2003年ブラティスラヴァ世界絵本原画展でグランプリを受賞しました。

上記の記事によると

・・・日本人によるグリム童話の「あめふらし」は審査員に強い印象を与えた。

 出久根はその時代の服装や意匠の質感、そして光線の加減までを自らの解釈で丁寧に描いただけではない。例えば湖をバスタブに、カラスの止まり木は衣裳のハンガーと、絵には物語を超えたファンタジーが宿る。まるで演劇の演出家のような独特の解釈と表現で、欧州の人たちは新鮮な驚きを持ってグリム童話を再発見した。

 

 さてお話ですが、ご存知でしょうか。いかにもグリムらしいちょっと残酷なお話なんです。

ものすごく気位が高くて、千里眼を持つ王女がいました。高い塔の12の窓からは、何でも見通せて、王女の目を逃れられるものなどこの世にありませんでした。

そろそろ婿を迎える年ごろです…つまり婚活ですね。自分と勝負して、姿を隠しおおせた者と結婚しよう、敗れた者は首をはねられ、杭に串刺しにしてさらし者にする、というのです。案の定、誰も成功しません。王女の眼から逃れられないのです。

あるとき三人の兄弟がやってきましたが、上の二人は運がなく、98番目、99番目の杭に突き刺されました。末の弟は、3回チャンスをくれ、三度目にしくじったら命はいらないから、と王女に頼みこみます。王女は、どうせ無駄なことよ、と憎まれ口をたたきながらも、見眼麗しい若者だったので、願いをきいてやります。

 

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このあと若者は森の中で三種類の生き物に出会います。

カラスを撃たないで助けてやります。絵がおもしろい。巣にワイヤーのハンガーがあるところや、若者がカラスの涙の粒を拾っているところ、くすっと笑ってしまいます。(カラスの巣にハンガーは他の国の人もわかるのかしら)

 

それから既に見ましたが、も助けてやります。

 

キツネも、ご恩がえしをしますから、と命乞いするので逃がしてやります。

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さて、若者はいよいよ姿を隠さねばなりません。どこへ隠れよう?

若者は助けてやったカラスに相談します。

すると自分の巣のなかにある卵のひとつに隠れればいい、とカラスは言いました。

 

 

ところが王女には、卵に隠れている若者が見えているのです。

家来に命じてカラスを撃たせ、卵を運ばせました。若者は中から出てくるしかありませんでした。

 

次に若者は魚に相談します。

すると自分の腹の中に隠れるよう、提案します。

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そうして魚は湖の底ふかく潜っていきました。

 

王女は見つけられるでしょうか。長いのでいったん切りますね。

 

 

続く

 

グリム童話のカラスの種類は何でしょうねえ。 

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 写真:近所の公園にいるハシボソガラス。

体は小さめで、おでこが出っ張っていないのが特徴です。

このときセミを食べていましたが、植物を好んで食べるそうです。

 

 

 

 

ハンス・フィッシャーのメルヘンビルダー 

ドイツ スイス

メルヘンビルダーってなに?

今日はこの辺をちょこっとお話したい。というのもこんな本 『フィッシャーが描いたグリムの昔話 メルヘンビルダー』を出せる日本ってすごいな、と素直に感心してしまうのです。(うちの本ではなく、夏休みの図書館で見つけた印象深い絵本の一冊です)

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フィッシャーが描いたグリムの昔話 メルヘンビルダー

絵: ハンス・フィッシャー
文: グリム
訳: 佐々 梨代子 野村 泫
出版社: こぐま社    発行日: 2013年07月01日

 

挿絵画家ハンス・フィッシャーは以前「長ぐつをはいたねこ」で紹介しました。 『こねこのぴっち』のほうが、キャラクター製品が数多く出ているから有名だと思います。

 

cenecio.hateblo.jp

 一枚絵

メルヘンビルダー とは、メルヘン=おとぎ話、ビルダー=絵という意味。

ひとつのお話の始まりから終わりまでが一枚の絵にギュッと固めて描かれるものです。ヨーロッパには15世紀くらいからあって、キリスト教の教えや昔話、伝説や世界の不思議な話などが、新聞くらいの大きさの紙に刷られ、字が読めない民衆にも絵で楽しめることから広く親しまれていました。

印刷技術の進歩とともに発展をとげ、19世紀のドイツで頂点を迎えます。木版画の「ミュンヘン一枚絵」(Muenchener Bilderbogen)と呼ばれるものが有名で、芸術性も高く、後世にも大きな影響を与えました。

 

 たとえば「長ぐつをはいたねこ」です。出典:ウィキペディアhttps://commons.wikimedia.org/wiki/Category:M%C3%BCnchener_Bilderbogen?uselang=de

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こちらは 「田舎のネズミと町のネズミ」。

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(作者、年号など解説はつけませんので、 詳しくはウィキペディア参照)

 

 こうした一枚絵を、現代人のハンス・フィッシャーがグリム童話を題材にやってくれたわけです。

こちらがその原書。

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Märchenbilder 7 Märchen d. Brüder Grimm, gezeichnet

絵: Hans Fischer
出版社: Zürich Stuttgart Artemis Verl. 

雑誌に連載していたものをまとめて1961年にスイスで出版されました。そして日本の翻訳版には、原書にない絵も収録され、詳しい解説も巻末につけて、大人も子供も楽しめるような形で出版されるという、なんとも贅沢な本になっています。

 

表紙の絵は 「ヘンゼルとグレーテル」ですね。よく見てみましょう。

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真ん中のお菓子の家とお婆さんがすぐに目につきます。その周囲にお話が描きこまれていますね。既に話を知っているので、フィッシャーがどんな描き方をするか、大人としては興味しんしんです。


「うさぎとはりねずみ」はこんなふう。(左がちょっと切れてしまってすみません)

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ユーモラスですね。ウサギは走りつかれて死んでしまうのですが。

もちろんテキストも2~3ページほどついています。

これがまたすごくいいテンポの語りで、子供たちはきっと喜ぶでしょう。

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商品|こぐま社

「長ぐつをはいた雄ねこ」は真ん中にどんと猫を置くあたり、意表をつきます。

 

他にも次の作品が収められています。
・「おぜんよ、したく」と 金出しろば と「こん棒、出ろ」
・おおかみと七ひきの子やぎ
・しあわせハンス
・ならずもの
・七羽のからす 


 最後にこんな展覧会もあったんですね。

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 調べ物をしていたら見つかりました。5年前、7月2日(土)~7月31日(日)、神戸ファッション美術館エントランスギャラリーで開催された

「一枚絵」によるグリム童話の世界―19世紀ヨーロッパの手彩色版画展―

行けた人はラッキーでした。

 

 

 

 

 

La plus mignonne des petites souris 一番きれいな小ネズミの娘

フランス

今日はフランスの絵本です。

タイトル:La plus mignonne des petites souris 一番きれいな小ネズミの娘

出版社:Père Castor Flammarion フラマリオン社のPère Castorシリーズの一冊

出版年:1953年

(↓ うちのは古くて左側、色がとんでいます)

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表紙を見ただけでもうわくわくします。

小さいときにこの本を読んでもらった子は幸せだな、と思って羨ましくなります。

 

(残念ながら全部のページはスキャンできません)

最初のページ

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これがネズミのミナカジル家(注:Rongetoutとはなんでもかじってしまうという意味。皆齧る)のお宅です。

ミナカジル氏とミナカジル夫人には、それはそれは美しいお嬢ちゃんがおりました。

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ダンスも編み物もでき、お菓子も焼ければピアノだってひけるのです。

そろそろ嫁にやる年頃だ、うちの娘にふさわしいのは、世界で最も強い者でなければならない

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ミナカジル氏は婿を捜しにヘリコプターで旅に出ます。

 

 

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はじめに 上へ上へ飛んで、太陽の宮殿に行きました。

うちの娘の婿になってくださらぬか。あなたは世界で一番強いおかただ。

ミナカジル氏はそう言いました。

しかし太陽は思いもよらぬ返答をしました。

いや、それは間違いだ。わしより雲のほうが強い。雲はわしの姿を隠してしまうからな。

ミナカジル氏はペリコプターで下へと飛行し、雲のところへ行って聞きます。

すると雲は、自分をさっとふきはらう風の方が強いと言います。

 

ミナカジル氏は風車小屋に住む風のもとへ向かいます。

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雲のいうことは間違っている。あそこに建つ古い塔の方が強い。

わしがいくらびゅーびゅー吹いてもびくともしないからな。

 

ミナカジル氏はもうすっかり疲れていましたが、塔に向かって話しかけます。

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いやいや、残念だが、風は間違っておる。

わしより強いのは ネズミじゃ。ネズミはわしの一番丈夫な梁を ガジガジ齧りよる。

やつが齧り終えたときにゃ、わしは倒れてしまうだろうよ。

 

そこでミナカジル氏は そのコネズミに会いに行きます。

 

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うちの娘の婿になってくださらぬか。

小ネズミの中で一番きれいな娘じゃ。

コネズミは答えます。

お宅のお嬢さんのことはよく存じ上げております。

嫁にいただきとうございます。

 

めでたく二匹は結婚しました。盛大な式でした。

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ミナカジル氏はとっても満足です。なぜって娘は、

太陽より強い雲、

その雲より強い風、

その風より強い塔、

その塔より強いネズミのところに嫁いだのですから。

(終わり)

 

 

絵を描いた人はこちら。

f:id:cenecio:20160829162909p:plain挿絵画家、絵本作家 Étienne Morel (1924-1969)

対象年齢3歳から。今でもアマゾンで買えます。レビューを見ると、皆さん絵の美しさを絶賛!

可愛いし、ユーモアもあるし、気品も感じます。フランス語のテキストも簡潔でとてもいいと思います。

Étienne Morel氏は他にもたくさん作品があります。

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「赤いめんどり」という作品。

絵を見ただけですぐわかるほど、スタイルが確立されていますね。

 

 

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絵本キャンペーンの写真が可愛いので 最後に乗せておきます。

ちいさなヒッポ 世界で一番美しいカバ マーシャ・ブラウン-2-

アメリカ

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ちいさなヒッポ

作・絵: マーシャ・ブラウン
訳: 内田 莉莎子
出版社: 偕成社

発行日: 1984年

 

本を開くとね、

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いきなりピンクの背景に、鶴とカバでしょ。

もうびっくりして次のページをめくると、またすごい!

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額に収めて部屋に飾りたいわ、と思ってしまいます。

暖簾にしてもいいねえ、日本家屋の玄関を飾るにぴったりだと思う。

てぬぐいはどう?テーブルクロスでもいい。(←妄想がふくらむ)

 

30ページ以上ある絵本で、どの挿絵の版画もすばらしい。ですが、残念ながらみんなコピーするわけにはいきません。

 

シマウマや水牛、ワニも描かれています。子供カバはワニに食べられそうになるのですが、危機一髪、おかあさんワニが子供の声を聞きつけて助けにやってきます。

すごい迫力です。絵の前でことばをなくします。ご自分で手に取って読むのがいいですね。

 

著者って何もの?

 ブラウン,マーシャMarcia Brown( 1918年7月13日 - 2015年4月28日)
1918年ニューヨーク州ロチェスターに生まれる。師範学校を出て、三年ほど教師として働いたが、絵本の仕事をしたいという望みが捨てきれず、ニューヨーク公共図書館で子どもの本についての経験をつみ、また国吉康雄などについて絵を勉強した。最初につくった絵本は「小さな回転木馬」で、その後「三びきのやぎのがらがらどん」(福音館)など多くの想像力ゆたかな絵本をつくっている。アメリカの最優秀絵本賞「コールデコット賞」を三度(「シンデレラ」「むかし、ねずみが…」「影ぼっこ」)も受けた第一流の絵本作家である 

1994年には 来日したそうです。

f:id:cenecio:20160725180616p:plain1969年の作品

Images from the Marcia Brown Collection

 

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Marcia J. Brown '40 Biography

 

おもしろいですね、国吉康雄について絵を習っていたって・・・。

国吉康雄(くによし やすお、1889年9月1日 - 1953年5月14日):日本の洋画家。岡山県。 20世紀前半にアメリカ合衆国を拠点に活動した。

 
ほかにもいろいろな本の挿絵を描いています。

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一度見たら忘れられない白鳥!

 

追記:アメリカの本物のカバ(オランダの新聞より)

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ロサンゼルスの動物園。口を開けて冷たい水をキャッチするカバ。写真ロイター。

 http://nos.nl/

 

うちのアリス

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さて夏休みに入りますので、少しお休みいたします。

皆さま、たのしい休暇を!

そしてまたあとでお会いしましょう!

 

三びきのやぎのがらがらどん マーシャ・ブラウン-1-

アメリカ そのほか

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三びきのやぎのがらがらどん  (ノルウェーの昔話)

絵: マーシャ・ブラウン
訳: 瀬田 貞二
出版社: 福音館書店

発行日: 1965年07月

 

「ノルウェーの昔話」となっているのは、ノルウェー人のふたり、アスビョルンセン(Peter Christen Asbjoernsen, 1812-1885)とモオ(Joergen Moe, 1813-1882)が採集した北欧民話で、大変有名な話だそうです。

多くの人がなじんでいるのは、上記アメリカのマーシャ・ブラウン挿絵の絵本だと思います。

押さえた落ち着いた色使いですが、ものすごい迫力です。子供たちは目が離せないし、口もきけず、話に吸い込まれていきます。

マーシャ・ブラウンはいろいろな画風があって、同じ人と知ったときは唖然としました。(次回もマーシャ・ブラウンの絵本を扱います)

 

三びきのやぎのがらがらどん、お話は単純で、三(さん)がキーワードです。

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三匹とも同じなまえ。「がらがら」というのはしゃがれた声のことを表しています。「どん」は「さん」や「君」にあたる呼び方です。

がらがらどん三匹は、体の大きさは違って、絵の通り。

山の草場にいきたいのですが、途中、谷川にかかる橋があって、橋の下には大きな鬼が住んでいます。北欧では「トロル」と呼びます。

ぐりぐりめだまは さらのよう、つきでた はなは ひかきぼうのようでした。

はじめに小さいやぎが渡ります。

「すこし まてば、二ばんめやぎの がらがらどんが やってきます。ぼくより ずっと おおきいですよ」

二ばんめやぎの がらがらどんが来ます。

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あとから大きいやぎのがらがらどんがやってくることを告げます。

そしてがたん ごとん がたん ごとんと橋を鳴らしながらやってきて

「おれだ!おおきいやぎの がらがらどんだ!

と、やぎは いいました。それは ひどく しゃがれた がらがらごえでした。

 

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 トロルに飛びかかると、木っ端みじんにして谷底へつきおとしました。

それから山へ登っていきました。

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これで話はおわりです。

チョキン、パチン、ストン(英語:Snip, snap, snout. This tale's told out.)

これが話の終わりの合図で、子供たちはいつもの日常へと戻ります。

日本でも結句として「とっぴんぱらりのぷう」などがあります。

こちらが大変詳しく勉強になりました。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

 

 

ほかにもこんな挿絵の本があります。この挿絵も味があっていいですねえ。

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The Three Billy Goats Gruff (Paul Galdone Classics) (英語) – 1981年
Paul Galdone (著)

 

個人メモ

Three Billy Goats Gruff

 

今日の写真:

北欧、スウェーデンの街角写真を…古いんですが、ちょっとスキャンしてみました。1983年です。

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列車 当時の一等車

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骨董店

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路地と住宅

わたしとあそんで Play with me

アメリカ

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わたしとあそんで

文・絵: マリー・ホール・エッツ
訳: 与田 凖一
出版社: 福音館書店

発行日: 1968年08月



 

 

 つい3日前に同じ作家の「もりのなか」を扱いました。

cenecio.hateblo.jp

 

アメリカで1955年に出版された本です。

youtubeで英語読み聞かせを見つけて、ちょっと嬉しい。読んでもらうと私も絵に集中できるから。読んでもらうってこんなに贅沢なことだったんだな。

 

お話はあまりに単純で、ここにいちいち書いていたら、私は本当に間抜けな人ということになってしまいます。

エッツは「もりのなか」ではモノクロでしたが、今回はクリーム色と、女の子のブロンドの髪のために黄色をほんの少し使っていて、効果的だと思いました。

好きなところは、女の子の目、表情と、おひさま

目がくりくり、右へ左へ動きます。

体はじっとしたまま。

さっきは逃げていった動物や生き物が寄ってきます。

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ああ わたしは いま、とっても うれしいの。

とびきり うれしいの。

なぜって、みんなが みんなが わたしと あそんでくれるんですもの。

エッツの幸せな幼年時代が見えるようです。

終わり

 

 

 

おおかみと七ひきのこやぎ (グリム童話)

ドイツ スイス

DER WOLF UND SIEBEN GEISSLEIN(Felix Hoffmann)

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おおかみと七ひきのこやぎ

作: グリム童話
絵: フェリクス・ホフマン
訳: 瀬田 貞二
出版社: 福音館書店

発行日: 1967年4月1日

 

みんな知っているお話しですが、どの挿絵画家のバージョンで読むかによって印象も違ってくると思います。

うちはこのスイスの画家ホフマン(Felix Hoffmann)。

2012年に原画展があったみたいで、こちらサイトが詳しい。参考までに。

book.asahi.com

 

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おかあさんが美人でおしゃれ。この絵だけでもう好きになります。

絵が好きかどうかはとても大切です。

お母さんは服を着て二足歩行なのに、7匹のこやぎたちは四足なんですよね。

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おおかみは声をきれいにするために、村の雑貨屋でチョーク(白墨?下に注あり)を買ってなめます。

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足を白くするために粉屋行きます。

そしてしろい足をこやぎたちに見せて、

「あけておくれ、こどもたち。おかあさんが かえってきたよ」

 

まんまとだまされたこやぎたち。

 

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こやぎたちは隠れようとしますが、6匹が食べられてしまいます。

7匹目、柱時計の箱のなかに隠れた子だけは見つからず、母親が帰ってくると一部始終を話します。(**椅子に注目してください。下に注あり)

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キュリオブックス 【Der Wolf und die sieben Geisslein】

母親は狼の腹からこやぎたちを助け出し、かわりに石を詰めて、再び腹を縫い合わせました。

狼は井戸に落ちておぼれ死んでしまいました。「おおかみ しんだ!おおかみ しんだ!」みなで井戸の回りをグルグルまわりながら、踊りました。

 

・・・という、とってもかわいそうなおおかみの話でした。

え、違うでしょ。狼は「悪」なんだから、悪を退治した勇敢なお母さん、母子家庭で、一人奮闘するお母さんの話でしょ。

どうしてもそうは思えない私。

本の裏表紙を見て、この一家のお父さんの写真が壁にかかっているのを見てもなおかつ・・・。

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 <フェリクス・ホフマン>
1911年、スイス・アーラウ生まれ。75年没。バーゼル美術学校(スイス)で学んだ後、カールスルーエの州立美術学校(ドイツ)で木版とイラストレーションを学ぶ。石版印刷や銅板印刷の現場で経験を重ね、その後は美術教師をしながらスイス各地にフレスコ壁画やステンドグラスを、また本の挿絵や装丁の仕事を多く残した。壁画はアーラウ市の門、教会、小学校などに、ステンドグラスはアーラウ市庁舎、教会などで今も見ることができる。日本で出版された絵本は『ねむりひめ』(1963年、福音館書店)『おおかみと七ひきのこやぎ』(1967年、福音館書店)など多数ある。

*チョーク、といってもドイツ語Kreideは石灰質の土のことらしい。

www.zeit.de

こちらの新聞のコーナーで、ドイツ人がKreideを食べて、本当に声をきれいになるか実験している。が、別に変わらないようだ。

 

**椅子

うちのと同じタイプなので、ここ一番うけるところ!

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座面の美しい模様がまだ少し残っています。

もりのなか In the forest

アメリカ

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もりのなか

作・絵: マリー・ホール・エッツ 
訳: まさき るりこ
出版社: 福音館書店

発行日: 1963年12月20日

 

マリー・ホール・エッツ (Marie Hall Ets)は1895年アメリカ ウィスコンシン州生まれ。動物と親しんだ幼少時代が、のちの作品に大きな影響をあたえているそうです。

シカゴでソーシャルワーカーとして働きました。「セシのポサダの日」(冨山房刊)でコルデコット賞受賞。「海のおばけオーリー」(岩波書店刊)などたくさんの作品を残して、1984年に亡くなりました。

 

「もりのなか」は、アメリカでは1944年に出版された本で、たちまち話題になりました。絵本といっても全ページ、モノクロなんですよね。表紙に色があるのでびっくりしました。

「ぼく」が森の中で動物たちと出会い、遊び、別れるまでが淡々と描かれます。

1945年に栄誉ある「コルデコット賞(Caldecott Medal)」、つまり優れた絵本に与えられる賞をもらうのですが、なんとこの人は生涯に合計で6回ももらっています。

 

おはなし

ぼくは紙の帽子をかぶり、新しいラッパをもって森の中へ散歩に行きます。

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ライオンは、まず髪をとかしてから王冠をかぶり、ぼくのあとについてきます。

次々に多くの動物たちがグループに加わります。ぞうやクマ、カンガルー。

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コウノトリまで。さるはすごくおしゃれですし。(説明すると無粋なので省略)

で、ウサギだけは内気でしゃべりません。(集団の中には当然そういう子もいるでしょ)。

ぼくはすべて自然に受け止め、全員の動物を受け入れます。

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「もういいかい」と目を開けると森には誰もいなくて、そのかわりにおとうさんが立っていました。

おとうさんが言います。

もう遅いから帰らなくちゃ。動物のみんなはまた今度まで待ってくれるよ。

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またこんど さんぽに きたとき、さがすからね!

 

これで終わりです。

あれ、ウサギはどこ?と一生懸命さがしたりします。

でも意味や解釈はいいのです。子供の空想の世界なのですから。

不思議の森で遊んだ読者も、親の声で現実に引き戻されて、それもまたホッとする場所です。

動物がみ~んな可愛い!

読後のふしぎな幸福感を言い表すことばを、私は持っていないのが残念です。

 

続きがあるんですってね。知りませんでした。

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おまけ

森の中、といえば思い出すこと。

以前アントウェルペン近郊の村で見つけた売り家の話をさせてください。

 歩いていると

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ああ、家を売り出したんだな。どんな家かのぞいてやろう。

野次馬根性まる出しです。

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ユニークな日本風邸宅、8160㎡!見当もつかない広さ。

それと「日本風」?どこが?

まあまあ、ツッコミはやめて。

覗いてみよう。

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森の中の一軒家。それにしても敷地が広い。

子供の遊び場、遊具もちらと見える。

あ、望遠レンズ持っていたっけ。

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でもやっぱりよく見えなかった。

うちに帰ってから不動産屋のHPへ行ってみたら、日本円にして一億円ちょっと、でした。高いのか安いのか、はたして買う人いるんだろうか…

そんなことを思ったある日の散歩でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

まどさんと さかたさんの ことばあそび

日本

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まどさんと さかたさんの ことばあそび

(こみねのえほん) 単行本 – 1992/12
まど みちお (著), 阪田 寛夫 (著), かみや しん (イラスト)

 

まどみちおの詩「地球の用事」は前にも取り上げました。

今回はまどさんとさかたさん( 阪田 寛夫)、ふたりの詩人のめくるめくユーモア詩の世界に飛び込みます。言葉遊びやダジャレ、ほとんど危ないオヤジギャグの域内で大笑いさせられます。

コピーしていいのかわかりませんが、3編選んで載せました。

解説は無粋ですので、やめますね。

外国のかたにはちょっと厳しいかも…。

 

 1.

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              (この絵はただの区切りです)

 

2.

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           f:id:cenecio:20160719164113j:plain

3.

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いかがですか。

私はわからないのがひとつあります。

パパイヤです。教えてくださいね。

 

 今日の写真は

東灌森稲荷神社(とうかんもりいなりじんじゃ)

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近所のとっても小さなお稲荷さん。

太田道灌公が江戸城築城の際に方除け守護神として江戸周辺に祀った稲荷社のうちの一つだと言われています。

ちいさいおうち The Little House

アメリカ

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ちいさいおうち (岩波の子どもの本) 1954
バージニア・リー・バートン (著, イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

 

アメリカの絵本の古典、1942年の作品です。

主人公はちいさいおうちで、はじめは自然の中で幸せいっぱいに暮らしていましたが、次第にまわりの環境が変わって、都市化が進んでいきます。便利になる一方、緑や自然やゆとりが失われていきます。

 

この絵本は読み聞かせには注意を要する絵本、つまりちょっと長く、ちょっと重いテーマなんですね。小さな子供は飽きるかもしれません。

絵をじっくり眺め、ちいさいおうちの表情の変化を読み取っていく必要があります。

ちいさいおうちの顔(表情)が微妙に変わっていくのを見て、心情に共感できたら、すばらしい読書になると思います。

 

はじめは口元がにっこりしていたおうちも

この絵になると、かわいそう。

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うるさくて窮屈です。まだここに建っていることが不思議ですよね。

いなかののどかな日々を思い出し、あそこに帰れたらなあ、と夢見る日々ですが、自分ではどうしようもありません。

 

あるとき、ちいさいおうちを建てた人の、孫の孫の、そのまた孫にあたる人がやってきます。

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そしてお引越し。

 

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いなかでは、なにもかもが たいへん しずかでした。

この一文で物語は終わります。

 

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バージニア・リー・バートン(Virginia Lee Burton, 1909- 1968)

f:id:cenecio:20160719173759p:plain右端がバートン

Women Children's Book Illustrators--The Folly Cove Designers & Virignia Lee Burton

 

最初の絵本、『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』(CHOO CHOO)

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これは長男アーリス(アリスティデス、1932年2月17日 - )のために書きました。

 

第2作『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』(Mike Mulligan and His Steam Shovel)

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次男マイケル(1935年8月30日 - )のために書きました。

 

『ちいさいおうち』は夫のために書いたそうです。

1964年春に日本にも来ました。

 

ところがこの人、絵本以外にも凄かったんです。今回調べて初めて知りました。

テキスタイルデザインという分野!

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Folly Cove Designer print, Winter Boarders by Virginia Lee Burton Demetrios, 1941

https://jp.pinterest.com/pin/71635450293370488/

 

彼女が中心となって作ったデザイナーグループのサイトも。

(すみません。この辺、単に私のメモ用なので…)

www.capeannmuseum.org

 

で、MOEが特集号を組んでいたなんて、ちっとも知らず。

f:id:cenecio:20160719184504p:plainMOE 2009年9月号

ああ、もう遅いよ~って。

終わります。

 

今日の一枚

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通販で送られてきたビールを並べてうっとりしていたら、アリスが邪魔をする。

 

 

 


 

 

 

フランダースの犬 -3- & イギリスの猫

日本 ベルギー

いよいよ終わりです(笑)

まだ書くことがあるのかと…(思っていらっしゃるでしょう)。

cenecio.hatenablog.com

メインブログを含めるとこれで4記事め。

でも私にとって初めて、ひとつのストーリーとその受容のありかたを掘り下げてみる機会だったわけで、この日々で得たことは大きいです。

すなわち、日本ではこの清らかな悲劇が高く評価され、アニメの成功とも相まって、おそらく今後も愛されていくでしょう。アメリカでは悲劇的な結末では「負け犬」の話になってしまうので、ハッピーエンドに作り替え、ネロはアメリカンドリームを体現していく少年です。

フランダースではこの話は受け入れがたい。著者ウィーダははっきり否定的にフランダースを描いています。

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フランダースで完訳が出たのは1984年のこと。

当時から、そして今現在でも人気漫画家である、ウィリー・ヴァンデルステーンという人が挿絵を手がけました。

 

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どう思いますか?

日本のアニメで育った人には絵がちょっと受け入れがたいかな。

 

またこの漫画家は漫画版も出しました。

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『ホーボーケン、ススケとウィスケ』

ホーボーケンは「フランダースの犬」の舞台(と言われている)村の名前、

ススケとウィスケは漫画家がシリーズでお話を書いている主人公の二人です。

両作品ともフランダースでは評価されなかったし、日本人にとっても心に触れるものではありませんでした。

 

最後に、音楽がおもしろかったです。

ネロとパトラッシュが天にめされていくときの曲が、賛美歌『主よ御許(みもと)に近づかん』


「賛美歌320番」主よみもとに近づかん

美しい曲で、歌手がいいですね。

1997年の映画『タイタニック』が沈みゆくときの曲なんですってね。そのことも知りませんでした。


Titanic - Nearer My God To Thee (Full Version)

 

ここで「フランダースの犬 -3-」は終わりです。

 

おまけ

無理にくっつけてしまいますが、うちにも猫がいるのでラリー(Larry)君の動向が気になっていました。ラリーは2011年からイギリス官邸でネズミ捕り任務に従事している猫です。

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デービッド・キャメロン(David Cameron)首相が辞職しても、ラリーは官邸に残ることになりました。

内閣報道官は「ラリーは役人であり、キャメロン家の一員ではない」とし、「彼はとどまることになるだろう」と語った。(c)AFP

www.theguardian.com

めでたし、めでたし。

 

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Alice

フランダースの犬 A Dog of Flanders-2-

日本 アメリカ そのほか

ネロ少年

子供だと思ったら、15歳というのが驚き。日本のアニメだと9~10歳くらいの、無垢で純粋な子供に見えるから。でも15歳ともなると昔は中学を出て働いたわけで、もう小さな大人です。

ネロは画家になる夢を持っていて、才能もありました。夢を打ち明けられるのが、パトラッシュのほかに、アロワという少女です。

アロワは12歳で金持ちの農夫のひとり娘ですが、ネロのことが好きで、いつもネロとパトラッシュと遊んでいました。

まだ12歳だというのに、男たちはもう、アロワはいい妻になるだろうから、息子の結婚相手になってくれないものかと話していました。

このくだりは結構驚きます。そしてアロワの父親もネロを警戒するのです。

「アロワをあの若者に近づけちゃならないぞ」その夜、コゼツさんは妻に言いわたしました。「後で問題がおきそうな気がする。ネロはもう15歳だし、アロワは12歳だ。あいつは、顔も体つきもいい。」

妻はネロを気に入っていますが、夫のいうことに従います。

「あいつは無一文じゃないか。それに画家になるのを夢見たりしているから、よけいにわるい。これからは気をつけて、ふたいをひきはなしておきまさい。それができなければ、アロワを聖心会の尼さんにあずけて、まもらせてもいいんだぞ」

二人は恋をしている仲だったんですね。原作を読むまではわからないことでした。

ネロは少女にキスをし、きっぱりと信じている思いを告げました。「いつかかわるさ、アロワ。いつの日か、お父さんにあげた小さなマツの板が、銀でできてると思うほど値打ちが出るだろう。そうなれば、お父さんだって、ぼくに扉をあけてくれるよ。ただ、ぼくをずっと好きでいてくれ、アロワ。いつまでも、好きでいてくれればいい。きっと、ぼくはえらくなるから。」

皆さん、ストーリーは知っているでしょうし、アニメにも、私と違って詳しいでしょうから、私はアメリカで撮られた映画を簡単に紹介してみます。

 

フランダースの犬の映画

アメリカでは5本の映画が作られた。

①1914年 A/The Dog of Flanders

ネロ役は25歳の女優だった。フィルムは残っていないという。

 

②1924年 A Boy of Flanders「フランダースの少年」

当時活躍していた名子役ジャッキー・クーガンを起用。クーガンはチャップリン映画『キッド』(1921)や『オリヴァー・ツイスト』(1922)で成功した。

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Jackie Coogan (1914 - 1984)

ストーリーも原作とはラストが違い、ネロは絵の才能を認められて、コンクールの審査員の一人に、パトラッシュとともにひきとられる。

凄く可愛い!ネロのイメージを裏切らないですね。

 

③1935年 A Dog of Flanders  

これもハッピーエンドに終わる。映画は不人気だったようだ。

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名犬ラッシーのような強そうな犬。

 

④1960年 A Dog of Flanders  

カラー映画です。

ハッピーエンド。アメリカンドリームを叶える少年として描かれる。

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⑤1999年 A Dog of Flanders  

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パトラッシュは熊みたいに見える

 

最後の5作目では、ロケは本場ベルギーに行き、様々な町や村を選んで行われた。

最も大切なネロの村として、ちょうどうまいぐあいにこんなところがある。

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ここはボクレイクBokrijkといって、リンブルク州にある野外博物館だ。

 

Bokrijkのウィキペディアには、フジテレビのドキュメンタリー撮影風景の写真も。

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(Bokrijk filmset - Fuji-TV recordings for Dog of Flanders / Flanders no Inu (2007))

役者とディレクターかしら。このドキュメンタリーは見てみたいんですよね。

ストーリーというよりも、ベルギーの町並みや昔の暮らし、服装などを見たいな。

 

まだ続きます。

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写真:アントウェルペンのウィンドー

 

 

 

フランダースの犬 A Dog of Flanders-1-

イギリス 日本 そのほか

初めて完訳を読みました。

子供の時はリライトされた簡単な話を読んだんですが、可哀そうすぎて、あまり好きじゃありませんでした。

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フランダースの犬 (偕成社文庫) 単行本 – 2011/3/17
ウィーダ (著), 佐竹 美保 (イラスト), 雨沢 泰 (翻訳)

 (偕成社の解説から)

アントワープを舞台にたぐいまれなる画才を持ちながら、貧しさ故に、その才能を花開かせることなく、天に召された少年ネロと、ネロとどこまでも運命を共にしようとする意志強く賢い愛犬パトラッシュの物語。

内容(「BOOK」データベースより)
フランダース地方を舞台にした少年ネロと犬のパトラッシュとの美しくも悲しい人生。ルーベンスの絵の下でのネロとパトラッシュの姿は永遠です。他に「ウルビーノの子ども」「黒い絵の具」を収録。19世紀人気女流作家ウィーダの名作の完訳です。小学上級から。

 

みなさんの世代はテレビアニメですか。

1995年 全52話 一作あたり3000万人が見た

(出典:『誰がネロとパトラッシュを殺すのか』岩波書店 )

と上記の本にありますが、大人気だったのは私も知っています。が、この頃私は大学生で、TVをほとんど見ていなかったのです。

そしてベルギーに興味を持つようになってからも、この話をちゃんと読もうという気はおきませんでした。

今回手を伸ばしたきっかけは、岩波書店からベルギー人(フランダースにルーツのある人たち)がチームとなってこの作品を研究し、映画まで作り、上述の本を出版したということなので、これを機会にいっぺん完訳で読んでみようと思いました。

 

今日は犬の話だけにしぼります。

古い絵葉書をみると、犬荷車がどんなものかすぐにわかりますね。

実は以前も短い記事を書いたのでした。

cenecio.hatenablog.com

犬が三匹で牛乳缶を積んだ荷車を引いていますが、足も細く、なんだか労働犬じゃないみたいですね。

 

他にも捜してみました。

飴を入れるボックスの蓋の部分。

側面に「フランダースの牛乳売り」と書いてある。

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たくましい犬たちです。

 

おもしろいことにウィキペディアには

Dogcart (dog-drawn)

という項目まであります。

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A photochrom from the late 19th century showing two peddlers selling milk from a dogcart near Brussels, Belgium

 

完訳『フランダースの犬』では、最初の一章「少年と犬」約20ページが、まるまる犬の生活とパトラッシュに当てられます。

労働犬の過酷な仕事は読んでいてもつらい。

パトラッシュとの出会いは偶然でした。動けなくなって金物商人に捨てられ、息絶え絶えで道に倒れていたのです。それをネロとおじいさんが保護・介抱して、元気になってからも愛情いっぱいに世話をする。犬もネロに深い愛情と恩義を感じ、互いに友情で結ばれます。

 

p13

フランダース地方の犬は、毛が黄色っぽく、頭も足も大きく、オオカミのように立った耳をしています。重労働に耐えられるように、何世代にもわたって改良された種類なので、四本の足はたくましく筋肉がつき、外に開いてふんばっていました。パトラッシュは何世紀も前から、フランダースできびしくはたらかされてきた犬種の生まれでした。かれらは人につかえる奴隷そのもので、馬のように長柄と引き具につながれ、荷車で筋肉をすり傷だらけにし、街の石だたみの道で心臓がとまって死ぬまで、はたらく生き物でした。

著者ウィーダはイギリス人で、すごい愛犬家なんですね。同情と憐れみを込めて語っています。「人につかえる奴隷そのもの」私にはショックでした。

 

初版の絵も興味ありますね。見てみましょう。(『誰がネロとパトラッシュを殺すのか』より)

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 ついでに1914年ころのアメリカ版も見てみましょう。

Ouida: Louisa de la Rame

 A DOG OF FLANDERS: A Christmas Story.

Chicago: M. A. Donohue & Co

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次回に続きます。次はネロは子供じゃなかったという話。