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あおい ふね LE BATEAU BLUE (最終回)

アメリカの作家 マーガレット・ バーディックの絵本です。

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Le bateau bleu Album –

de M Burdick (Auteur)

Gautier Languereau (1 janvier 1991)

 左:フランス語訳

右:原書『カワウソのボビーと青いボート』

 これはさすがに翻訳はないだろうと思っていたら、ちゃんとありました。

日本、おそるべし!

『ボビーとそらいろのヨット』―カエデのもりのものがたり 

マーガレット バーディック (著), Margaret Burdick (原著),

渡辺 茂男 (翻訳)童話館出版 (1995/11)

カワウソのルーくんは ある日 アナグマがやっている「アナグマストアー」のウィンドーで、きれいな空色のヨットを見つけます。

ヨットの左側に伝言がありました。

「ビーバーおじさんの手作りのふねです。

 何かと交換でさしあげます」

 ルーは考えます。ビーバーおじさんはどんなものが好きかな。

森で色づいた落ち葉を集めることにしました。

赤、黄色、橙色の、いちばんきれいな葉を集めます。

(絵は全部ではありません、念のため)

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ルーはアナグマストアーへ持っていって、アナグマおじさんに見せます。

するとおじさんは首をふります。「ビーバーさんは喜ばないよ」。

ルーはがっかりしました。前にお母さんにあげたらすごく喜んでくれたのに。

「だって冬がくるころには、葉っぱは色がなくなってしまうだろ。君には青いヨットがあるが、ビーバーさんには何も残らない」

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「たしかに、いい交換じゃないね」ルーは納得します。

次にルーは楡の木の枝を集めて束にし、それを持ってきました。

「見て。いい楡の枝でしょう。きっとビーバーさんはおいしいっていうよ」

でもアナグマおじさんは言います。

「かじったらなくなるよ。君にはヨットが残るけどね。ほら、枝と引き換えにおいしいさかなをあげよう」

ルーは魚を家に持ち帰り、家族みんなでおいしくいただきました。

 

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それから水遊びの時に見つけた色とりどりのきれいな石を集めました。

ところが乾いてしまうときれいでも何でもなくなってしまうのでした。

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森のいろんな動物たちが集まって、ウィンドーの青いヨットをみています。

ルーは沈む夕日を見ながら考えます。

ずっと長く喜びが続くものってなんだろう。

夜、ルーは青いヨットの夢を見ました。

金色の夕陽を浴びて 湖面を滑るように走るヨット。

ヨットの帆の色は落ち葉色

そして月が遠くで、丸くてすべすべの石みたいに輝いています。

 

次の朝、ルーはもう何をすべきかわかっていました。

絵の具道具を出し、ゆうべ見た夢を思い起こすのです。

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すばらしい絵だね。きっとビーバーさんも気にいってくれるよ、

そうアナグマおじさんが言いました。

 

それからこうなりましたよ。(このあと文字テキストなし。絵だけです)

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(おしまい)

 

さてどうでしたか。

ルーは何にするのかと最後までドキドキしました。

また絵が優しいタッチでほんわかしていいですね。絵の細部にもいろいろな発見があって、可愛い動物があちこちにいます。

著者についてはまったく情報が得られませんでした。

ですがこんなサイトを見つけ、興味深く読みました。

 

マーガレット・バーディック -子どもの心を理解するための絵本データベース|鳴門教育大学

このサイトについて

子どもの心に関する絵本の主題別検索ができます。
絵本名や作家名,画家名,出版社などの絵本の基本的書誌項目に,具体的内容をあらわすストーリーや主人公の性別,年齢層も付け加えられています。絵本の内容はさらに分析され,6個の大主題とそれに連なる280の主題で分類され収録されています。

大主題は「生活と自立」,「自我・自己形成」,「友達・遊び」,「性格」,「心」,「家族」です。
収録の絵本の大部分は児童図書室に所蔵し,閲覧利用できるようになっています。データの修正や更新も行う予定です。
データベースの詳細については,「絵本の心理学-こどもの心を理解するために」(佐々木宏子著 新曜社 2000)を参照してください。

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ひとまず 我が家にある本のうち 半分は見ました。

書棚の奥から取り出すときのドキドキ感が 今もう懐かしく思います。

長らくありがとうございました。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

* 復活祭のたまご

今日はきぃーさまへ

 きぃー (id:kai8787)

いつも訪問ありがとうございます。

 

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りんさまへ 

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https://jp.pinterest.com/pin/313352086561472983/

 

りんさま、遅ればせながら

お誕生日おめでとうございます🌸

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ナン (id:majyonan)

ナンさま、いつもご訪問ありがとうございました。

このブログはいったん閉じます。

よろしければ卵とお花のプレゼント、受け取ってくださいな。

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https://jp.pinterest.com/pin/313352086561025391/

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すばらしい ひこうき ネズミのお話-2-

すばらしいひこうき(L'AVION MERVEILLEUX)

今日はこれ。前回と同じ  Heather S. Buchanan(ヘザー・シンクレア・ブキャナン)の作品です。やはり1985年のもの。

 

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前にも書きましたが、フランスで買ったイギリスの絵本です。

ネズミ好きの我が家は、ついつい手が伸びて買ってしまうんですね

つきあわせてすみません。

そして邦訳はちゃんとあるのです。日本に帰ると何でもあるので、びっくりします。

 表紙の絵が違いますけど。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51YDKB72K2L.jpg

ジョージ・マウス はじめてのぼうけん– 2005/5
ヘザー・シンクレア ブキャナン (著),評論社

  

ネズミのロビンくんを紹介します。

両親と5匹の姉妹と木のうろに住んでいます。

いま(下の絵)は何を読んでいると思います?

新聞です。地球を一周するすごく速い飛行機のことが出ています。

そうそう、ちょうど自分も空を飛んで世界をめぐりたいな、と思っていたのでした。

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これはアトリエ。

ね、何をしようとしているかわかるでしょう。

ロビンは手仕事が大好き。発明家なんです。

必要なものを集めて、設計図を描いて。どこに?ってその黄色い葉っぱにですよ。

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お母さんが朝ごはんを作っています。

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何日もかかりましたが、すてきな飛行機ができあがりました。

あとはヘアピンのプロペラをつけるだけなんですが、これをどうやって回すかー

いいアイディアが浮かびません。

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気分転換にピクニックに行きましょう。

木の実を持って小川のほとりにやってきました。

小さな妹がふたり、楽し気に跳ねていますと、

突然大きな音が響きました。

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それは人間でした。おなじくピクニックに来ていたのです。

男の方はいびきをかいています。

足のところにガラスの広口瓶があって、赤いゴムが妹ネズミの頭にかかりました。

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二人は走って逃げて みんなのもとに帰りました。

その赤いゴムを見たロビンは はたと思いついたのです。

そしてアトリエへ走り出しました。

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ほら、赤いゴムで

プロペラのピンを回すのですよ。

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ロビンは飛行士の帽子をかぶり、

寒くないようにとお母さんが編んでくれた服を着て、

シートベルトを締めました。

お父さんネズミがプロペラをグルグルと、少なくとも50回は回してくれました。

 

いよいよその時がやってきました。

お父さんネズミはプロペラを放しました。

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冒険家の気分で空を飛び、かなりの距離をやってきました。

ところがだんだん速さが落ちてきて、ロビンの飛行機は木の太い枝に不時着陸しました。危なかったですが、けがはありませんよ。

再びプロペラを回して、素早く飛び乗り、家路につきました。

家族はみんな集まって、ロビンがよく見えるようにろうそくを灯し、ロビンの帰りを待っていました。

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 無事に着陸できました。

といってもそこは、お父さんネズミがくわを入れたばかりの菜園だったのですが。

でもお父さんはちっとも怒りませんでした。大切な息子の帰還が嬉しかったのです。

そしてロビンは、顔いっぱいに笑みを浮かべています。

悦びと誇らしさで溢れんばかりの。

飛行士にして探検家のネズミなんですもの。

おしまい

 

 

著者 ヘザー・シンクレア・ブキャナン

 

   http://www.georgeandmatildamouse.co.uk/assets/images/Heather.jpg

 

これまた愛らしいホームページをお持ちのブキャナンさん。

小さいころから絵を描くのが好き。8歳のときにハムスターを飼い始め、子どもをたくさん産むので増えました。するとお父さんが古いクローゼットを改造して、ハムスターのおうちを作ってくれました。ハムスター全員に名前をつけ、よく観察するようになり、スケッチを始めました。そしてハムスターが主人公の物語を編み出したというわけです。本はいまのところ12冊出ているそうです。

 

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Heather Buchanan : Meet Heather

http://www.georgeandmatildamouse.co.uk/assets/images/H_girl.jpg9歳のころのブキャナンさん

お話はここまで。

 

今日のチョコレートは 

志月 (id:black-koshka)さま

私の志月さまのイメージです(#^.^#) …気に入らなかったらどうしよう…

    https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/564x/2e/eb/00/2eeb0056f2b1e37afd76c8337728feab.jpg

 

https://jp.pinterest.com/pin/313352086561022719/

 

それとこちらもどうぞ。

おめでとうございます!

あ、この間も言ったんですけど、改めて。

          https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/236x/6b/a2/9a/6ba29ae6afbecf1e03ed0106b58caf34.jpg

 

 

sapicsapic

さぴこさまへ

フランスのショコラティエ エヴァンの2016年の作品です。

 

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https://jp.pinterest.com/pin/313352086561226465/

Jean Paul Hévin  (231 Rue Saint Honoré -Paris)

おもしろいセットですね。この組み合わせで復活祭のチョコレートを発表するのは珍しい。

魚は「4月の魚」といって、エイプリルフールのようなものです。紙に書いた魚を人の背中にはって笑いあって過ごします。

 

ではまた次回。

 

 

お針子ニネット ネズミのお話-1-

お針子ニネット(NINETTE COUTURIERE)

Heather S. Buchanan(ヘザー・シンクレア・ブキャナン)作、1985年の本。

子どもたちが大好きだった本であり、また我が家はハムスター教、いえ、ハムスター狂時代があったものだから、この手の本は思い出深いです。

 

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以前さぴこさまがあげてくれたアン・モーティマーの世界を思い出すでしょう。

cenecio.hateblo.jp

ヘザー・シンクレア・ブキャナンはアン・モーティマーと同じくイギリス人。

だから英語からの翻訳なんです。

 

今日のお話も、アン・モーティマーのネズミとおなじくらい、愛くるしい。

で、これを書こうと決めて調べてみたら なんと翻訳がありました。

日本ってすごい、なんでもあるんだな。

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マチルダ・マウスのすてきなおうち

(評論社の児童図書館・絵本の部屋) 単行本 – 2005/5

 ニネットはおねえちゃんネズミ。両親と双子の弟と暮らしています。

場所はというと 老婦人の家の片隅、

ふたのとれた中国製のティーポットの中。

一家の集合写真を見てください。

 

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この本はどのページにも、四隅に可愛い服を着たネズミが描かれています。

私は右上のが好みです。

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ニネットは好奇心いっぱいで手先の器用な女の子。

老婦人の針仕事をじっと見ています。

今、計画していることがあるんです。

 

ネズミたちのおうちの中はこんなふう。

絵をみているだけで楽しいですね。

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興味がありましたら、ご自分で読んでいただくとして

あとはざっくりと。

ニネットは弟ふたりにチョッキを作ってあげたいのです。

それで勇気をだして老婦人のお裁縫籠へ冒険です。

勇敢で賢いニネット。

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糸を体に巻き付け、針を持っています。

一寸法師みたい。

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小さな弟が足で踏んでいるのは綿です。

ニネットはパッチワークですてきなチョッキを作ります。

あとはボタンをつけるだけ。

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ボタンを選びおえて戻ろうとしたら、

まあ、あのいたずらっ子たちがティーポットから出てきている!

大変!猫にも見つかった。

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なんとかふたりは逃げました。

でも二ネットは?

 

ポットのところに猫がいますよ。

こっちを見ているし。

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しかし猫はそのとき飾り皿を落としてしまい、その音を聞きつけた老婦人がやってきて、猫を庭へ出してくれたのでした。

ああ、よかった。

こわかったですね。

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最後はみんなで輪になって踊っています。

すてきなパッチワークの服を着て。

おしまい。

 

 

イギリスといえば

借りぐらしのアリエッティ」の原作になったメアリー・ノートンのシリーズもありますね。

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みなさん、不思議に思ったことはありませんか。

童話や絵本や児童向けの文学は 圧倒的に北ヨーロッパとイギリスが優れているんです。

これについてポール・アザールはこのようなことを述べています。

「南国に対する北国の優越性について」の中で

北ヨーロッパの風土、厳しい自然や森や山々が、空想を広げるのに適しているからだ

https://www.kinokuniya.co.jp/images/goods/ar2/web/imgdata2/large/43140/4314000031.jpg出典はこちら

『本・子ども・大人』

アザール,ポール【著】〈Paul Hazard〉/矢崎 源九郎/横山 正矢【共訳】

第3章 南国に対する北国の優越性について(南国に少ない児童文学;イギリスの子守唄 ほか)

 

次回、もうひとつのネズミのお話。

 

おまけ

ギアさまに贈る復活祭のたまご。

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https://jp.pinterest.com/pin/313352086560822223/

ムスティクのぼうけん

子どもが眠くなるのはどうしてか?

 

それはね、眠りの精の「砂売りおじさん」が 目の中に砂をたらしこむためなんです。

ヨーロッパではそう言い伝えられており、子ども時分はみんなが信じています。

 

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『ムスティクのぼうけん』 Moustique et le marchand de sable

 

なに、それ?きっと誰も知らないお話でしょうね。

私が子どものころのフランスの児童文学・・・ちょっと古いけど。それは写真を見てもわかります(笑)。箱がボロボロ。本の表紙は箱の絵と同じです。

ポール・ギュット( 作)塚原亮一( 訳)センバ太郎 (絵)

シリーズ名 新しい世界の童話シリーズ 11 学習研究社1966年(*)

f:id:cenecio:20160602112315p:plain原書。少年の名前がムスティク。

Moustique et le Marchand de Sable Cartonné – 1 janvier 1957
 PAUL GUTH (Auteur)

 

ムスティクは という意味。なぜってちびで手も足も小さく細く、なのにびっくりするほど元気いっぱいだから。朝、顔を洗う時、水を天井まで飛ばすし、歯ブラシは喉につまらせるし、服を着るときもズボンを破いたり。

学校でもじっと座ってなんかいないし、家に帰れば口いっぱいに食べ物をほおばり、庭に飛び出したかと思うと跳ねまわり、木登りし、また食堂に舞い戻ってはパンで遊びだすしまつ。

夜もなかなか寝ません。お母さんが言う。

「目をつぶってごらん。すぐに砂売りおじさんがやってくるわ」

するとムスティクは、砂売りおじさんに会いたいからずっと目を開けている、と言い張ります。幾晩も遅くまで起きていますが、おじさんには会えません。とうとう風邪をひいてしまい、熱にうかされて見た夢のなかで、白マントをはおり、口ひげをはやした男に出会います。ガラス瓶をぬっと差し出すや、ムスティクの目にさらさらと砂を流し込むのでした。

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ムスティクはこちらから出向くことにします。何週間もかかって食料をためこみ、準備をし、両親に手紙も書いて、さあ出発!

海岸行きの汽車に乗り、浜辺に着きました。そこで砂売りおじさんを捜しますが見つかりません。ひょんなことでホテルの支配人と知り合ってエレベーターボーイの仕事をもらいます。仕事をこなしながら、世界地図を研究し、アフリカに向かうことに。

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マルセイユまで列車で行き、そこからアフリカ行きの汽船に乗せてもらいました。

ムスティクはアルジェの南にあるサハラ砂漠が、世界中で一番砂のたくさんあるところだと知っていました。

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陽気なトラック運転手三人と知り合い、トラックに乗せてもらいます。彼らもちょうどサハラ砂漠にむかうところだったから。

ムスティクが砂売りおじさんを捜しにいくことを告げるとおれたちも同じ方面に行くのだから手伝ってあげるよ」。

空の星も砂漠の砂とおなじようにたくさんあるなあ、とムスティクは感心しています。砂漠の王様は砂売りおじさんで、空の王様は神さまです。ムスティクの頭の中で、砂売りおじさんと神さまがごちゃ混ぜになってしまいました。

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 砂売りおじさんは熊手で砂をかき集め、空では神さまが星をまきちらします。

 

地下に広がる町

サハラ砂漠の熱いことといったら!おじさんが見つからないのは、もしかして涼しい地下で暮らしているのでは?ムスティクはそう考えます。

地下の町にはエレベーターで降りていくのです。するとパリのコンコルド広場よりも広い広場に着きました。

その広場は「とびきり上等の砂の広場」という名前で、砂の像が立っています。太古の昔から砂を作ってきた、有名な砂つくりの偉人たちの像です。

 

12本の通りのなまえがおもしろい。下のページでどうぞ。

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それぞれの通りには砂でできた家がならんでいる。砂でできたテレビ画面には、砂でできた写真が映っていますが、ひっきりなしに崩れ落ちている。

砂をつくる工場やベルトコンベヤーのあるところを通りぬけて、「砂売りおじさんの広場」にやってきました。

砂売りおじさんの玉座は金色でぴかぴかと眩しくて、おじさんは玉座にどっかり座っていました。

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おじさんは労働者たちに指図をしています。そこでつめている砂は、「とてもとても細かい砂一号」という種類でした。びんというびんには、子どもたちを眠らせるときに使う砂がぎっしりと詰まっていました。女工さんたちはびんを小さな箱に詰め、送り先の番地を書いていました。

ムスティクは切手集めをやっていたから、小箱に世界中の切手が貼ってあることに気が付きました。驚いたことに、自分宛ての小箱を見つけました。

「ムスティク用。送り先、両親の家…」

両親の家、という字にハッとして目をさましました。トラックに揺られながら眠っていたのでした、

両親は自分を捜しまわっているだろう、どんなに悲しんでいるだろうかと考え、泣き出したいきもちになりました。

朝の太陽が顔を見せたころ、砂漠の上に広がる空は薔薇色に染まり、遠くのほうに、高い鉄の柱と小屋が見えました。

「さあ、やっとついたぞ」運転手がいいました。

「あの鉄の柱は何なの?」

「あれは、石油をくみ出すための井戸だぞ」

トラックがとまると運転手が言います。

「さて、これから坊やを驚かせてやるぞ」

「じゃ、砂売りおじさんに会わせてくれるんだね」

働いている人たちが興味しんしんで、その子はだれだと聞いてきます。立ち並ぶ労働者用の小屋の3番目に来ました。

「さあ、ここだ」

小屋に足を踏み入れたムスティクは、思わず、あっと叫びました。

ひとりの男が椅子に腰かけてオレンジジュースを飲んでいました。それはおとうさんだったのです。

「やっ、ムスティク!わたしのかわいいムスティク」

おとうさんはジュースをひっくり返してしまいました。

砂漠の真ん中で砂売りおじさんに会えたらどんなに嬉しかったでしょう。でもおとうさんに会えたほうがずっとずっと嬉しいことでした。

おとうさんはフランスで一番の腕利きの石油技師で、これまでもいくつも油田を発見した人です。

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ムスティクが家を出てから、新聞やテレビに写真が乗り、ラジオも繰り返しムスティクのことを放送しました。

「名前はムスティク。小さな男の子です。小さな目、小さな顔・・・。」

トラックの運転手が新聞の写真を思い出してくれたおかげで、お父さんに会えたのです。

次の日、二人はフランス行きの飛行機に乗りました。

「砂売りおじさんはどこにいるんだろう」

「おまえが眠るたんびに、すぐにやってきてくれるよ。目をつぶらないと、おじさんは現れないんだ」

「じゃ、目をあけたら?」

「とたんに姿を隠してしまう。いいかね、この世で一番美しいものは、毎日の暮らしの中のあるのだ。しかもその美しいものは、目をつぶったときにだけ見えるのだよ」

「おやすみ。砂売りおじさん」

ムスティクは低い声でつぶやいて、そのままぐっすりと眠ってしまいました。

(おわり)

 

著者  ポール・ギュット(1910.ー1997)

フランスの小説家,ジャーナリスト。高校教師を経て文筆活動に入る。

自伝的な小説『世間知らず』 Mémoires d'un naïf (1953) とその連作小説ナイーブシリーズや『お痩せのジャンヌ』 Jeanne la Mince (60) シリーズなど、ユーモア小説で人気を博した。

児童向けではムスティク少年を主人公とする本書のほか、『ムスティックと青ひげおじさん』『ムスティック月へ行く』など。

 

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Paul Guth Stock Photos and Pictures | Getty Images

左:サイン会のポール・ギュット

右:書斎のポール・ギュット

 

我が家の本

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中央の数冊がギュットの小説です。

たぶん今はもう読まれないでしょうけど、1950 ~70年代にかけては人気作家で、サイン会にはご婦人方に囲まれたようです。

 

今日はこれで終わります。

今後の予定としてはあと3冊扱いますが、全部フランス語の絵本で、翻訳はありません。でも絵がうっとりするくらい可愛くて、子どもたちが大好きだった思い出の本、ということで取り上げたいと思います。

 

 

追記:参考までに1966年の本を見てくださいね。

(*)新しい世界の童話シリーズ (学習研究社1966年)

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みなさんはどれを読んだことがありますか。

 

 

カッパの周辺・雑記(象牙多層球 をめぐって)チェコのカッパ-3-

最初に言及から始めさせてください。shellさまです。

わたしは実は・・カッパが怖いのです。苦手なのですよ・・・笑*
鱗をもたない生き物で、ナマズとか山椒魚などの皮膚の感じがしますね

わかります。あのヌルヌルがいやなんですよね。

逆に『おかしな結婚式』の初めの方に、こんな一節があります。カッパから見た鯉の描写です。 

p12

鯉はどうやっても鯉でしかありません。体じゅううろこだらけで、ひればかり。

ものしらずでなににでもおどろくし、なまけもので、礼儀なんてものはこれっぽっちもわきまえていないのです。

完全に 上から目線です。チェコではカッパは偉いのです。自然界の主みたいな感じもすれば、浪士さまのあこう劇場の登場人物みたいなカッパたちも出てきます。

ずっと昔に読んだので、今ここに資料とか持ってこれないのですが、ヨーロッパの多くの場所で「カッパは川の水死体」という説もあります。水の流れでゆらゆら動いているように見えるのです。

 

簡単にカッパ作品の作家たちについて述べておきます。

『おかしな結婚式』

お話:ボフミル・ジーハ(Bohumil Říha)

1907 -
チェコスロバキアの作家。
元・チェコ作家同盟書記,元・国立児童図書出版所所長。
ボヘミア生まれ。
教師や視学官を経て作家となり、1930年以降新聞や雑誌に作品を発表し、’52年チェコ作家同盟書記となり、’56年国立児童図書出版所所長を務める。’75年チェコスロバキア国民芸術家の称号を受け、’80年国際アンデルセン賞を受賞する。作品に「ぼくらは船長」(’63年)、「ビーテクのひとりたび」(’73年)など。

コトバンクより引用

挿絵:ヤン・クドゥラーチェク(Jan Kudláček 

1928-

モラヴィア地方、モラフスキー・クルムロフに生まれる。プラハの国立美術学校を卒業後、カレル大学で芸術史を学ぶ。1957年に造形美術アカデミーを卒業してから、子どものためのイラストを描く仕事に従事する。柔らかな色調で幻想的な作風を特徴とする。

幼いころ過ごした自然豊かな故郷の生物のほか、池や川の世界、とくに魚やカッパを好んで描く。

1972年に外国語の出版物を扱う出版社より、ルケショヴァーの本のイラストを依頼される。1971年に『ペトルーシュカ(Petruška, 1970)の挿絵でブラティスラヴァ世界絵本原画展入賞。ルケショヴァーと組んだ四季をテーマにした4部作のほか、『チョウさんさようなら』、カッパの世界を描いた『カッパたちはどうやってナマズたちをなだめたか』などがある。

国際子ども図書館 チェコへの扉』より引用

 ヤン・クドゥラーチェク 仕事場など

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Vzpomínání se závany motýlích křídel aneb významné životní půlkulatiny ilustrátora a malíře Jana Kudláčka

ヤン・クドゥラーチェク インタビュー(チェコ語。個人メモ)

www.youtube.com

Malíř a grafik Jan Kudláček - Oficiální stránky Obce Dolní Dubňany

 

ルケショヴァーとタッグを組んだ作品が素晴らしいのです。

だいたいこんな感じ。

http://www.lab-curio.com/book/0905/IMG_8004.jpg

http://www.lab-curio.com/book/0905/IMG_8005.jpg

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http://www.lab-curio.com/book/0905/IMG_8007.jpg

 http://www.lab-curio.com/book/re/DASSCHNEEPFERD.htm

 

 ヨゼフ・ラダについてはウィキペディアを見てください。(簡単ですけど)

ヨゼフ・ラダ - Wikipedia

チェコ近代絵画におけるもっとも「チェコ的」で独創的な画家で、チェコ人で知らない人は絶対にいないし、カードや絵葉書など多数キオスクなどで売っており、旅行に行ったらすぐ目につきます。うちにも数十枚あるのです。

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https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/236x/b6/d1/da/b6d1dae7bf9efe16560a0437b8a2dedf.jpghttps://s-media-cache-ak0.pinimg.com/236x/2c/03/bf/2c03bf1078c0ef51e80c41948617daab.jpg

絵本画家でもあるが、大人の小説の挿絵もたくさん手掛けています。

とにかくこの人について語ると、うち中からあの本もこの本も取り出さなければならず、キリがないのでここで止めますね。

 

あとカッパは現在でもよく扱われています。

最近のカッパ氏ですね。

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カッパ関連、短いですがここで終わります。

 

 

本日のたまうきさまの記事

ni-runi-runi-ru.hatenadiary.jp

 

それから

りん (id:miyamarin)

故宮博物館展に行ったとき、似たようなのを見ました。あとはNHKのテレビです。

すごいですよね。すべて計算されて彫られているんですよね。それをドイツ人だったか、どこかのヨーロッパの人が、解き明かしたとか?

りんさま、勝手に引用してごめんなさい。

正しいです。NHKでやったのも知っています。見ていないんですけど。

りんさまのコメを見て、すぐに記事に入れようと思いました。

 

私が個人的に思い出したのはこの本です。

エンデ全集〈1〉ジム・ボタンの機関車大旅行  – 2001/6/18
ミヒャエル エンデ (著), 上田 真而子 (翻訳)出版社: 岩波書店 (2001/6/18)

p59「そうそう、象牙細工師も~」から読んでください。

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というわけで、おもしろい日曜日でした(^O^)

 

追記:

奥さまがた

マミー (id:mamichansan)

りん (id:miyamarin)

たまうきさま

たまうき (id:ni-runi-runi-ru)

ヨーロッパでも古来から象牙の教会調度品・美術品はまず多くあるし、博物館にも中国の作品が飾られています。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1b/Crosseron_MNMA_Cl.430.JPG

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Pyxis_Khalaf_Met_L2011.46.7.jpg/800px-Pyxis_Khalaf_Met_L2011.46.7.jpg

 

多層球は世界中に散らばっており、エンデはもちろん実際に現物をみたことがあると思います。エンデは日本にもすんでいたし、後妻は日本人でしたから、日本の専門店や博物館で多層球を見たかもしれませんね。

 

 

中国人が手を使ってやった気の遠くなる作業が、ヨーロッパの卓越した旋盤技術で再現もできるらしいです。(NHKの番組を見ていなくて残念)。

 

下の動画はドイツじゃなくて台湾の人があげているものです。

1分以内で多層球が完成します!

 

www.youtube.com

 

おかしな結婚式 (チェコのカッパ-2-) 

おかしな結婚式 大型本 – 1986/8
ボフミル ジーハ (著), ヤン クドゥラーチェク (イラスト), 井出 弘子 (翻訳) 95ページ
出版社: 童心社 (1986/08)

 

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今日もカッパの話なのですが、初めて読む方は前回記事で、チェコのカッパの基本知識仕入れてくださいね。

民話や伝説を扱っているのではなく、子ども向けに書かれた作品を読んでいます。

 

さてこの本には、カッパは何匹も出てきます。カッパならではの特徴はあまりなくて、私たちと似ている人間臭いカッパです。

 

このスターレク爺さんはカッパの親分。銀の池に住んでいる。

いつも家来のナマズを従えている。水の中でも親分、そして陸の野原や森においてもやっぱり親分。長老といった風格ですね。

f:id:cenecio:20170303183718p:plainスターレク

スターレクには気にかかることがある。

鯉のベーナが結婚式を挙げたがらないことだ。ベーナはもう若くもなく、長いことヨハンカ(同じく鯉)と連れ添っていて、子どももたくさんいる。

しかしけじめとして式を挙げてもらいたい。スターレク説得にあたるのだが、鯉のベーナは反抗的だ。頭にかぶった麦わら帽子は脱がないし、パイプタバコを吸っている。タバコはカッパにだけ許されていることなのに。

「ときどき王冠をかぶったりしているそうじゃないか」とスターレクは問いただす。

「子どもたちと王様ごっこをしていたもんで」とベーナ。

 

ねえ皆さん、この辺で「ええっ?!」と思うでしょう。

鯉って魚なのに帽子や王冠かぶったりパイプくわえたりするわけ?

そう、お話を作った人(回をあらためて紹介する)と絵を描いた人は別なのですが、初めて絵を見たとき、お話にそぐわない気がして仰天しました。

なんと可愛い装飾的な鯉であることか!しかもどうやって描いたの?と思いました。

 

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パイプをくわえているのがベーナ。隣がヨハンカ。

 

ベーナはしぶしぶ、スターレクのいうことを聞いて結婚式をあげる約束をする。

「これからすぐ家へかえり、ちゃんと用意をするのだ。水曜日、太陽が森の上にのぼったら、おまえたち二人は、結婚のパレードのなかにいるのだ。仲人には、カワカマスとカワスズキがなる。・・・

 ヨハンカには、わしの持っているベールのなかで、いちばんよいものをおくるから、それを着せなさい。」

結婚式は、皆が集まって美しいふるさとのことを喜び合う、口実のようなもの。

しかしベーナはお祭り騒ぎが嫌いだし、こんなに歳をとっているのに今さら式などおかしいと思っている。その気持ちにヨハンカも共感している。

そんな二人をよそに、式の準備は着々と進む。

 

子分のカッパたちを一部紹介。

左:バイオリン弾きのカッパ  中:笛吹カッパ  右:おしゃれな銀色カッパ

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結婚式の知らせをうけて、魚はもちろん、カエルやザリガニ、昼の小鳥、夜の小鳥たちも大喜び。

皆が集まって、御馳走を食べたり、音楽を楽しんだり、花火を見たり、とそれはそれは華やかなのだから。また晴れ着で着飾り、自分の美しさをみせびらかすチャンスでもある。

 

どれもこれもコピーしたいくらい、絵がおもしろいのです。

いくつか紹介します。魚と鳥です。

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私が気にいっているおばあさんの魚です。

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鉄砲を持って見張りをするフクロウ。

 

次の4枚、このインパクトに勝てず、やはり貼り付けてしまいました。

(ヤバい。この時点で私のフォトライフはもう10%です💦)

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さて結婚式。

おめかししていますね。

左下:ヨハンカのベールの美しいこと。

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結婚式の準備はOKです。 これでめでたしめでたし、と終わると思うでしょう?

違います。

 

「まあ一回だけ、結婚式をがまんしてくれよ」と

カッパに懇願され、逃げない約束をする二人。

 ベーナ「やりたいようにやるがいい。わしは目をつぶり、ふれをふせて、息をとめることにする。結婚式のときは、ただの丸太のように見えるだろうよ」

ヨハンカ「わたしも丸太になるわ。ねえ、ベーナ、結婚式がすんだら、一緒に目をさましましょうよ」

 

当日、結婚式のために皆が集まっている。スターレクの挨拶が始まる。二人はまだ出ていかない。控えの間で聞いている。

立派な挨拶に、皆が拍手を送っている。

スターレクが続ける。

 

一晩考えたのだが、結婚式に花嫁花婿が一緒にいなければならないとは、どこにも書いてない。もしかすると二人は村から散歩に出て、ふたりきりでアシの間を泳ぎ回ったりしたいかもしれない。二人を無理にここに立たせようとしたのはまちがいであった。

二人の生活がこれからも変わりなく続きますように。これからの日々がみんなの喜びとなり、わたしたちを取り巻く美しい自然を楽しむことができますように。

 

スターレクが話し終わったとたん、結婚式の楽しい気分が爆発した。そのあと皆でおおいに楽しんだ。スターレクはこの世で一番賢いカッパだと褒め称えられた。

 

そして鯉の二人は、というと、アシの間の、二人きりになれるところへ入っていった。

 おしまい。

 

…という話です。

挿絵は様々な技法で描かれており、シンプルな鉛筆画もあります。

作者と画家については次の機会に紹介します。

 

 個人φ(..)メモメモ

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おばけとかっぱ (チェコのカッパ-1-)

 カッパ(かっぱ、河童)は 日本人なら誰でも知っている愛すべき妖怪です。

柳田國男の「河童駒引」や折口信夫などの著作も有名ですし、芥川龍之介 も『河童』(昭和2年)という作品を書いており、命日の7月24日は「河童忌」と呼ばれています。(芥川『河童』は1958年にスロヴァキア語訳が出版されている)

 

 そして私はチェコのカッパの話にも馴染んで育ったのです。過去記事でも取り上げたカレル・チャペックの作品集ですが

チェコ好きのきっかけはチャペック兄弟 -Josef Čapek- - 子供の領分 Le Coin des enfants

『長い長いお医者さんの話』(岩波書店中野 好夫訳、ただし英語からの重訳)。

この本の中に「カッパの話」というのがあります。

引用します。

(略)

それからフロノバじいさんの水車の前にも、一匹住んでいました。こいつは、水の中で馬を16頭飼っていました。技師たちが、そこを流れる水の力が16馬力だ、といったのは、そのためなのです。この16頭の白馬が、せっせと引っ張っていたものですから、水車はいつもクルクルと、それは威勢よく回っていました。

フロノバじいさんが死んだ晩、そのカッパは、だまって16頭の馬の引き綱をはずしてやりました。そこで、ちょうど三日のあいだ、水車は死んだじいさんのために、じっと、とまったままになっていました。

(略)

ここはほんの導入部で、話はこれから始まるのですが。(太字は私)

カッパは日本だけのものじゃないんですね。朝鮮半島からヨーロッパにかけて、水の精と馬にまつわる話はたくさんあるそうです。興味のあるかたのために、記事末に参考文献を一冊載せておきました。

 

チェコのカッパ

基本知識として確認します。というのもチェコでもお話によってバリエーションがあるので。

 

チェコ語でカッパは Vodník といって”水男”、川や湖や池などの水底に住んでいる。

粉ひき小屋のそばの池が多い。池の主と考えられており、池や水車や魚のめんどうをみて、たいていは村人ともなかよしである(図③)。

悪いカッパもいて、水車の水を止めたり水車の羽根を壊したり。また、水辺に近づいた人間を引き込んで溺死させることも。

水の中では力があるが、陸に上がると力は弱い。緑色の燕尾服を着ていて、それはいつも濡れていてる。乾くと神通力がなくなったり死んでしまうといわれている。

体は緑色で水掻きが付いた手足を持っている。赤い帽子に赤い靴、そしてパイプをくゆらしている。月夜の晩に、柳の枝に腰掛けて靴を直すといわれている(図④)。

昔話では、溺死者の魂を壺に入れて集めたり、娘をさらって妻にするというのもある。またドボルザーク交響詩「水の精」(The Water Goblin、1896)でも扱われている。

 

おばけとかっぱ

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おばけとかっぱ  (世界傑作童話シリーズ) 1979年
ヨゼフ・ラダ (著, イラスト), 岡野 裕 (翻訳), 内田 莉莎子 (翻訳)、173ページ

出版社: 福音館書店

今日はこちらの本。 

表紙をめくると

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右頁:

パイプをくゆらせているのが主人公かっぱのブルチャール

緑色のジャケット、赤い靴、赤い帽子(ときに緑の帽子も)、長い金髪を垂らし、たいていパイプをふかしている。住まいは水の底だが、ペットの猫もいて、室内の調度品などは人間の家となんら変わらない。

ナマズにまたがっているのは息子のプレツ

シスロフ村の古びた水車小屋の池に住んでいる。

 

基本知識で紹介した恐ろしげな妖怪としてのカッパではなく、チェコ児童文学の世界では、人間臭い愛すべき登場人物として描かれます。そしてチェコの子どもだったら誰しも子供のころに読む本です。

 

そしてここに親友のおばけ ムリサークと、その息子ブバーチェクが加わります。おばけは人を怖がらせるのが商売ですが、自分の村ではおどかし稼業がうまくいかなくて、友人のカッパに誘われて引っ越してきたのです。

さらに村人たち、その子どもたち、伯爵夫人や泥棒たちなども混じって、様々な事件が起こります。

全部で11の話がありますが、全部はとても書けないので、興味のあるかたはご自分で読んでくださいね。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ちょっと絵の解説だけ。

 図③

プレツ もブバーチェクも いってみれば普通の子どもですから、村の子どもワシークとマリヤンカと仲良くしています。そしてこの子たちはかっぱのブルチャールから昔話を聞くのが大好き。水車小屋に集まって村人たちは一心にお話に耳を傾けます。

http://www.pohadkar.cz/public/media/Bubaci_a_hastrmani/obrazky/obrazky-bubaci-a-hastrmani-2.jpg

 

図④

カッパは水の中でも陸の上でも使える靴を自分で作ります。手元がはっきり見える満月の夜が一番仕事ができます。

ブルチャールは、村の学校を卒業したプレツを靴屋のところへ見習奉公に出しました。

https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/236x/ee/6a/9b/ee6a9b5452b3f965a20ad5dc33428c58.jpg

 

図⑤

ワシークとマリヤンカは空の冒険をします。

おばけの飛行機に乗せてもらうのですが、なんのことはないほうきなのです。

ですがブバーチェクが操縦するとビュンビュン飛びます。(うしろでプレツがマリヤンカを支えてあげている)。このあと大人たちに叱られるんですがね。

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⑤ 

ヨゼフ・ラダの話は、いつもほのぼのとしたユーモアに溢れています。

たとえば

かっぱは今でも水の底の壺に、人間の魂を詰めているのかと聞かれ、

「ほかのかっぱの手前もあるから、人魂は置いておかないわけにはいかない。・・・が、もう半分に減ってしまったよ。うちの坊主が少しずつかじっているからな・・・」 

とか

世の移り変わりも激しく「おばけの自動販売機」なんかができて、「昔から続けてきたていねいなおどかしの仕事を、機械にさせるとはあんまりだ」と怒ったり。

また(p44-45)

「わしには、どうなろうが同じことだ。・・・わしはどっちみち、かっぱの年金生活者、つまりご隠居ってわけだからね。

だが気の毒なのは若いかっぱたちさね。水の中に人を引っ張り込んだりする仕事がなくなってしまった。今ではどこのうちにも風呂があって。わざわざ池に来て・・・水浴びしようなんて人は誰もいない。風呂なんかなくしちまって、人間はまた池で水浴びをすりゃいいんじゃ。失業したかっぱを救うために!」

 

 

「まっぴらごめんだね。がまんできんのは、あのコンクリの橋だ。どんな小さな川にもどんどこコンクリの橋かけちまったうえに、らんかんまでつけてくれるんじゃから。

・・・古い腐った橋を壊されたのは、まったく残念だったね。あの橋は、むすめっこが池に水をくみにきたりすると、足元でぽきりと折れて、ドボン!水に墜落ってぐあいで、すばらしかったもんだがねえ」

 

といった調子です。なんとなく雰囲気はわかってもらえましたか。

今日はこのへんで。

次回もかっぱが出てくる話です。

 

参考

チェコ語原書 新版と旧版

f:id:cenecio:20170221170612p:plainf:id:cenecio:20170221171148p:plain⑥⑦

 

*作者ヨゼフ・ラダ → 3月5日の記事へ。

 

 

研究書 

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51KI%2BljG8gL.jpg

 

 「水辺の牧にあそぶ馬を河童が水中に引きずりこもうとして失敗するという伝説は、日本の各地に見られる。この類話が、朝鮮半島からヨーロッパの諸地域まで、ユーラシア大陸の全域に存在するという事実は何を意味するのだろうか。

水の神と家畜をめぐる伝承から人類文化史の復原に挑んだ、歴史民族学の古典。」(解説より)

 

スロヴァキアが生んだ色彩の魔術師 ドゥシャン・カーライ『不思議の国のアリス』

 ドゥシャン・カーライ

今日は作品というより、一人の画家の紹介です。

このかっこいいタイトル「スロヴァキアが生んだ色彩の魔術師」は、

もちろん私が考えたのではなくて、滋賀県立近代美術館の企画展から勝手に借りてきています。あとで紹介します。

 前にshellさまより質問がありましたが、このブログのヘッダの絵、女の子と小鳥、この絵を描いた人なのです。 ドゥシャン・カーライのことはあめふらし』のところで簡単に紹介しました。つまり出久根さんのお師匠さんのひとりですね。

cenecio.hateblo.jp

cenecio.hateblo.jp

 

 今日はちょっとだけ、カーライの代表作(のひとつ)

不思議の国のアリス』を見ます。(写真は原書)

そして私はこの本しか知らないんです。

興味を持たれたら図書館などで他の本もあたってみてください。

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日本では

不思議の国アリス 大型本 – 1990/2
ルイス・キャロル (著), ドゥシャン・カーライ (イラスト), 矢川 澄子 (翻訳)

大型本: 109ページ
出版社: 新潮社 (1990/02)

 

表紙を見ただけでぶっ飛びますね。天才と呼ばれて世界中にファンが多いドゥシャン・カーライ(1948年6月19日ブラチスラヴァ生まれ)は、栄誉ある国際アンデルセン賞画家賞を40歳のとき受賞しました。

絵本界のノーベル賞のようなものですね。当時のチェコスロヴァキア共和国で初めてでした。まだベルリンの壁崩壊の前です。

当時、チェコスロヴァキアのような社会主義国では、芸術家の運命は過酷でした。自由な表現や活動を尊ぶ彼らは、当局によって監視下に置かれたり、冷遇あるいは無視されたりして苦難の日々を送りました。共産党員であることが必須、また党の方針にそって芸術活動を行えば安泰でしたが…。

才能のある画家たちは画業をやめ、子どもの本のイラストを描いたり、絵本を作るほうに道を求めました。そんなわけで美術の才能はどっと児童書界に流れ込んだのです。そうした時代の果実を、日本に住む私たちは享受しているわけなんですね。

カーライの住まいはチェコ共和国ではなく、スロヴァキアのほうで、首都ブラチスラヴァの美術アカデミーで教鞭をとっているそうです。

1990年代から何度も来日し、ワークショップを開いて日本の若い画家と交流を続けています。

 

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KADS New York | fine art print and publishing

 

あの女の子と小鳥の絵はこちら(*)で見つけました。タイトルは『満点をもらったおばかさん』(1983年)だそうです。

滋賀県立近代美術館の企画展 http://www.shiga-kinbi.jp/?p=9597

スロヴァキアが生んだ色彩の魔術師 『ドゥシャン・カーライの超絶絵本とブラチスラヴァの作家たち -『アンデルセン童話集』の挿絵原画100点一挙初公開-』
2010年4月24日 ~ 2010年6月27日

 

またその翌年にはこちらの展覧会。

非常によい紹介文なので引用します。

〈企画展〉東欧と日本を結ぶ 色と線の幻想世界 ドゥシャン・カーライ×出久根育 | 安曇野ちひろ美術館

シェイクスピアオスカー・ワイルドといった文学作品の挿絵を多く手がけるカーライは、大切なのは、「いかにテキストを深く読み込み、自分のものにして表現するか」と語っています。

『魔法のなべと魔法のたま』(1989年)と『3つの質問』(2007年)との間には、18年の歳月が流れています。以前に比べ、一部に彩度のより高い色が使われるなど変化も見られますが、少しくすみのある柔らかなピンクをベースに、細かく線を重ね、微妙な色合いで丁寧に描くスタイルは、年を経ても変わりません。その作品からは、作家のつくった作品に向き合い、自身の世界観を表す真摯な姿勢がうかがえます。

本展では、アンデルセン賞受賞後の1989年に描かれた作品、未発表アニメーション作品、銅版画、1999年以降に制作され、当館初公開の新収蔵作品等を展示し、カーライの多様な仕事の魅力を紹介します。

 

さて 『不思議の国のアリス』はページをめくると、こうです。

おやま、これがアリス?黒い短髪で青のジャンパースカートを身に着けて、

どことなく東洋風の顔立ちです。しかも生意気そうな強そうな子ですよ。

そしてうさぎも、これまで見たのとはかなり違いますね。

色も彩度が低く、細かい描きこみの線や点々がおもしろい。

 

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アリスはもう一枚だけ載せておきます。

小さくなったアリス!

からかわれているような縮みようです。

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不思議の国のアリス』はだれでも話の筋を知っていると思うので、

絵に集中できます。

鳥を二羽、切り抜いてみました。

カラス。

 

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こちらはなんの鳥でしょうか。

happyさんにお尋ねしようと思います。

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鳥を描いてもカーライ・ワールドです。

頭になにか乗せるのが好きですね!

 

最後にもう一枚、スキャンしてみました。

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奇想天外な作画だらけなので、ここで説明することは不可能です。

絵は大変に多く、一つずつに時間がかかります。

ドゥシャン・カーライの世界、ほんのちょっとですが、のぞいてみました。

興味があり、チャンスがありましたら 図書館などでどうぞ。

 

ドゥシャン・カーライはここまで。

次から二回続けてチェコのお話、両方ともカッパが出ます。

カッパは日本同様、チェコでもとても馴染みのある生き物です。

 

追記:カーライ図鑑

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ブルーナのデザイン  ポスターとカバーデザイン

ディック・ブルーナDick Bruna

といえば、ミッフィーちゃんなんですが、

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cenecio.hatenadiary.com

 

以前も上のブログに書いたように、

デザイナー、装丁デザインのブルーナがすごく好きでした。

私はオランダが羨ましくてたまらなかった。

読書週間には毎年、ブルーナデザインのポスターが、

街のあちこちに貼られるのです。

くろくまちゃんと

うちで

のんびり

本を 読もうよ

 

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可愛くてたまりません。

 

すばらしいデザインは多々ありますが、今日はメグレシリーズに絞って、

少しだけ見てみます。

cenecio.hatenablog.com

ここでも述べたのですが、シムノンのメグレシリーズは、日本では想像できないほどヨーロッパでは浸透していて人気です。

 

http://www.trussel.com/maig/covers/librematch.jpg http://www.trussel.com/maig/image/tele01.jpg

左:パリ・マッチ紙 追悼特集

右:俳優(Jean Richard)に演技指導するシムノン

 

 

オランダ語翻訳のカバーデザイン。

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まだこのようにたくさんあるのです。

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今日はここまで。

後で追記をするかもしれません。

カロリーヌの絵本「ユピ学校へ行く」-3-

カロリーヌの絵本です。

今日はうちの子どもたちが大好きな「学校編」を紹介します。

大人の私たちが見ても笑えるかどうか、あとでぜひ意見を聞かせていただきたい。

 

表紙の犬はYoupi

黒板に「ユピ学校へ行く」と書いてあります。

花2本+花2本=ブーケ一束

可愛いですね。横からプフが何か言っている。

ユピは計算が苦手なようです。

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うちにあるのは1992年版です。他の版はあとでみましょう。

(ユピが手に持っている青い黒板ふきに注目)

 

*~~~~~*~~~~~~*~~~~~*~~~~~~*~~~~~~*

 

さてお話のはじまり。

(いつものように、絵は全部ではないし、直訳でもありません。念のため再度お断りしておきます。)

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今日から新学期。ユピは初めて学校にいきます。

いつもの仲間たちと学校で会えるのが楽しみです。

さ、急いで。チャイムが鳴っている。

優しい黒犬のボビは 灰色猫のミネにつきそっているし、いたずらっ子の黒猫ノワローは相変わらずふざけている。

白猫のプフは花束を持っています。

 

(教室で)

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先生「ちょっとおさらいしましょうね。わたしたちの祖先はなんという名前ですか」

ノワロー「ガリア人です。りっぱな髭をたくわえていました」

ユピーは黒板にガリア人と書いています。「それから、大きな耳を持っていました」と付け加えます。

「ちがいますよ。あれは羽がついたヘルメットなのです」と先生。

 

算数では「ネズミ1匹+ネズミ1匹は?」と先生に聞かれ、

「朝ごはん」と答えるユピでした。

地理では地球儀を見て

「ぼくんち、見えないよう」。

またまたノワローがふざけています。

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絵合わせではユピはいつになく優秀です。

ですが、ノワローにまたしても邪魔をされます。

ノワローの顔を見てくださいな。

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お絵かきの時間。

先生「あなたたちの目の前にあるものを描いてください」

目の前にあるもの・・・

赤いりんごです。

白猫のプフは

「色なら白がやっぱ最高」と言って白いりんごを描きました。

後ろに座っているユピはプフに言います。

「ねえ、じっとしてて。でないと君のポートレートがうまく描けないから」

 

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ユピの描いた絵を見た、先生のあきれ顔といったら。

(ここは子どもたちにすごくウケるところです)

 

お絵かきはもう終わりよ。さ、ノートを出して!

書き方をやるって?バンザーイ!

ユピはもうアルファベットを知っているのです。

 

おや、ノワローが紙飛行機を飛ばしてきました。

 

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大変だ、きっとあとでバツを食らいますよ。

(黄色いカバンからネズミが…!)

 

このあと体操の時間がありますが、省略しますね。

「学校編」はこれでおしまい。

 

*~~~~~*~~~~~~*~~~~~*~~~~~~*~~~~~~*

ほかの版の表紙

時代に合わせて絵も違うのがおもしろいです。

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最新版もいろいろあるみたいです。

黒板の下にぶら下がっている「黒板ふき」に注目。        

 

f:id:cenecio:20170205172435p:plain1966年

色が古めかしくてすてきです。

 

カロリーヌのなかで 学校の話は珍しいです。

たいていが余暇や行事や旅行・冒険の話なんです。

ところが文化の違う私たちがみると興味深いことがたくさんあります。フランスでは、黒板は水で濡らしたスポンジで拭きます。

表紙の絵ではユピが青い色のスポンジを持っていましたが、最新版の絵では、下の写真のような天然海綿の色のが黒板から下がっていますね。

 

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通学カバン

Rentrée scolaire : le bon vieux cartable Tann's ressuscité - 1 septembre 2012 - L'Obs

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カロリーヌに出てくるような通学かばんは今でも販売しています。

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Rentrée scolaire: Les bons plans pour les fournitures de la rentrée 2014 (cartable, calculatrice, cours de foot)

ノスタルジーを感じるでしょうね。

 

今は素材が軽くて丈夫で、色も明るくキャラクターがついているものが主流です。

どうしても流行に左右されますが、ハローキティは根強い人気があります。

下の画像検索でどうぞ。

photos cartable scolaire - Google 検索

終わります。

 

 

白熊も食べたがるベルギーワッフル、作ってみました。

白熊さん、ベルギーにおいでなさい。

 

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今朝はこんな記事を見つけてすっかりご機嫌です。

ワッフルは世界中で食されていると思いますが、ヨーロッパの人はすぐにベルギーのワッフルを思い浮かべるようです。しかもリエージュ風とブリュッセル風を。

もちろんオランダやフランスやノルウェーのも有名でそれぞれにおいしいのです。どれもその土地にあった食べ方があるんですね。

これまで、shellさまと、そしてギアさまとはすでに1年前からワッフルの話をしてまいりました。ギアさまはご自分で作ったワッフルをブログ上で披露されましたし、作り方も丁寧に教えてくださいました。

また私も簡単ではありますが、ベルギーワッフルの写真を載せてきました。

cenecio.hatenadiary.com

cenecio.hatenadiary.com

cenecio.hatenadiary.com

 

リエージュ風とブリュッセル風の違いは上記の記事内で説明しました。

 

一人食堂さま(garigarigarikuson)

にも無理を言ってレシピをお願いしました。

こちらです。どうやらリエージュ風に近いようです。

米粉を使う所がおもしろいですね。

www.hitorishokudou.com

 

というわけで、ワッフルメーカーを買ってきて、一応レシピ(↑記事内↑)に沿って作ってみました。

 

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ところがですね、最初からうまく行くとは思っていませんが、案の定、イーストがちゃんと膨らまなかったのです。それと塩を入れるのを忘れた!(そそっかし!)

ワッフルシュガーは30グラム程度入れました。

娘や夫はそれでも喜んでおいしいと言って食べてくれました。

味はほんのりシナモン風味にしました。夫は「もう少し砂糖を入れてね」と次回に向けて要望を出してきました。

ええ、次はもう少しうまくやれると思います。

一人食堂さん、ありがとうございました。

 

ギアさまのレシピ

ギアさまは「ベルギーを旅してワッフルに惚れ込んだ、本間節子さんの本を持っているのです」と2種類、紹介してくれました。

①「イーストでふんわりブリュッセル風」


プレーン生地4〜5枚分
水・・・125ml
ドライイースト・・・小さじ1/2
砂糖・・・20g
卵・・・1個
薄力粉・・・60g
強力粉・・・60g
塩・・・小さじ1/2
無塩バター・・・30g
粉砂糖・・・適量
①ボールに水を入れ、イーストを加えて混ぜる
②砂糖、卵を加え泡立て器でよく混ぜる
③薄力粉、強力粉、塩をあわせ一度にふるい入れる
④泡立て器でよく混ぜなめらかにする
⑤湯せんで溶かしたバターを加えて、さらに泡立て器でなめらかになるまで混ぜる
⑥ラップをして1時間〜1時間半、量がふえてふんわりとし、泡が出てくるまで室温に置く
⑦予熱したワッフルメーカーで3〜4分焼き色がつくまで焼く
⑧焼き立てに粉砂糖をふって、好みのフルーツなどを添える

 

②「イーストでもっちりリエージュ風」


水・・・100ml
イースト・・・小さじ1
砂糖・・・20g
卵黄・・・1個分
強力粉・・・90g
塩・・・小さじ1/2
無塩バター・・・80g
薄力粉・・・90g
①ボールに水を入れイーストを加え混ぜる
②砂糖、卵黄を加え泡立て器でよく混ぜる
③強力粉と塩を一度にふるい入れ、泡立て器でなめらかになるまで混ぜる
④バターを小さめのボールに入れ、泡立て器でクリーム状になるまで混ぜる
⑤、③に④のクリーム状のバターを加えでなめらかになるまで混ぜる
⑥薄力粉を一度にふるい入れ、ゴムベラでなめらかになるまでよく練り混ぜる
⑦ひとまとめにしてラップをして室温で約1時間〜2時間、生地がふくらんで、だいたい倍くらいになるまで置く(一次発酵)
⑧打ち粉(強力粉)をした台に取り出し、軽くまとめ8等分に切る
⑨手で丸めて打ち粉をした台の上に少し間をあけて並べ、ラップして乾かないようにし、ひとまわり以上大きくなるまで発酵させる(2次発酵)
⑩焼成(上と同じ)

ギアさま、ありがとうございました。ぜひこれにそって作ってみたいと思います。

 

楽しいワッフルメーカー

ヨーロッパで売っている製品の一部です。

子供たちも手軽に作れますね。

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Coffret 100% chef : le gaufrier – La Grande Récré : vente de jouets et jeux Ecoiffier

 

 

オランダでワッフルといったらこれ!

さぴこさんが先月記事を書いていました。

日本でも普通に売っているなんて知らなかった。

 

sapic.hatenablog.com

私にとってはアムステルダムの空港で買うお土産であり、オランダ帰りの人が手渡してくれるもののひとつです。

ストロープワッフル(stroopwafel)は2枚の薄い記事の間にシロップ(stroop)を挟んだものです。詳しくは→ ストロープワッフル - Wikipedia

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グレーテルのかまど(NHK Eテレ)ご存知ですか?

前はよく見ていたんですけど、最近離れていたら2月6日にワッフルをやったようで、もうがっかり!どなたかご覧になりましたか。

ノルウェーの国民的絵本の主人公「スプーンおばさん」のワッフルを作る、というコンセプトです。ナビはこちら瀬戸康史くん。

 

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www.nhk.or.jp

至れり尽くせりの丁寧さでレシピが載っています。

ぜひちょっとだけでも覗いてみてくださいね。

こんなハート形の焼き器もほしくなっちゃう。

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下は「スプーンおばさん」ノルウェー版です。

絵がとってもすてき!

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日本では

『小さなスプーンおばさん』

作: アルフ・プリョイセン
絵: ビョーン・ベルイ
訳: 大塚 勇三
出版社: 学研

出版社からの絵本紹介:

ある朝、目がさめたら、いきなり茶さじくらいに縮んでしまうスプーンおばさん。気丈なおばさんは少しもあわてず、てきぱきと困難をきり抜けていく。気のやさしいご亭主との静かな暮らしのなかでおこる珍事件を明るくユーモラスに描いた物語。

 

みなさんもワッフルを作られたら、ブログにアップしてくださいね。

ではまた。 

カロリーヌの公現祭「王様のケーキ」

1月6日カトリックの祝日です。

公現祭エピファニー)といいまして、ガレット・デ・ロワという「王様のケーキ」(パイのほうが近いかな)を食べます。

切り分けられたケーキの中にそら豆(*フェーヴともいう。過去記事参照)が入っていたら、その日はいちにち王様になれます。紙でできた金色の王冠をかぶってね。

 

今日は1月30日で、1月も終わっちゃいます。

その前に急いでこの愛らしいお話を書いておきます。

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Caroline fête les rois  – 発行年:1993
著者: Pierre Probst 

出版社:HACHETTE

 

カロリーヌの絵本シリーズについては以前、簡単に紹介しました。

cenecio.hateblo.jp

ではだいたいの話を。絵も全部ではありません。念のため。

 

 カロリーヌは大忙し。 

バターに卵、小麦粉・・・えいやっと!

右にいるのはキッド(ライオンの子)で、

左のボビ(犬)がそら豆を手渡します。

中に入れなくちゃ。

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できあがったら、みんなでいただきます。

切り分けると早速、縮れ毛の子犬のユピーが

パクッとひとかじりしました。

「ぼく、そら豆をのみ込んじゃった!」

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まあ大変。

飲み込んでしまったらお話になりませんね。

ぶち壊しです。

困ったな、もう小麦粉がないし。

 

そこでケーキ屋さんで買ってくることにしました。

それにはお金がいりますね。

みんな自分の貯金箱からお金を出し合いました。

白猫のプフとユピーは、大きなケーキを買ってきました。

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そら豆が当たったのは誰でしょうか。

ぼくだよ、とキッドが得意げに言います。ほら、見て!

ところがプフも同時に言うのです。

ぼくも。ほら・・・歯のあいだにはさまってるんだ。

そんなことってあるでしょうか。ケーキに二つのそら豆なんて?

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カロリーヌは歯医者に電話をかけます。

先生、緊急なんです。そら豆が歯に挟まっているんです。

 

歯医者さんがプフの口の中から取り出したもの

それはなんと ルビーでした。

ケーキ屋さんへレッツゴー、です。

 

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ケーキ屋さんの喜びようといったら!

指輪のルビーがはずれて、ケーキの生地に入ったのですね。

どこでなくしたんだろうと思っていたんだよ。

 

ケーキ万歳 王様万歳!

そうだ、お礼に大きなケーキを作ってあげよう。

 

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 今度は八匹がそれぞれ王冠をかぶり、みんなが王様です。

なんてすばらしい日でしょうか。

このルビーの話は長く語り継がれそうですね。

 おしまい。

 

 

*我が家のフェーヴのコレクションを紹介しています。

興味のあるかたはどうぞ。

cenecio.hatenadiary.com

 

 

*2012年に「カロリーヌの展覧会」があったようで、そのポスターと、訪問したことををブログに書いているフランス人のサイトです。

私の忘備録として貼り付けています。

f:id:cenecio:20170126132337p:plainポスター

parfumeuse.canalblog.com

 

追記:ドイツ メルケル首相と王冠をかぶった子どもたち

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月にノーと言ったキツネ

『 月にノー(NON)と言ったキツネ』

フランスの本です。

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タイトル:Le Renard qui disait non à la lune 

発行日: 1 octobre 1974
著者: Jacques Chessex   挿絵:Daniele Bour

出版社 : Grasset

 

新しいキツネ本といえるかな。

1974年発行のフランスの(絵)本です。出版が新しいという意味ではなく、キツネはよく物語の主人公になりますが、たいてい、ほかの動物たちに対して”悪役”ですよね。しかしこの本の主人公は、現実的で自立した、しかも詩人のキツネです。

ちょっと下の写真を見てくれればわかると思いますが、とにかくテキストが多い。行間も空けずにぎっしりお話があります。それで絵本とは呼べず、物語になっています。

 

あらすじをざっと紹介します。

キツネのルールーは森の奥深くに住んでいます。明け方になると、獲物を探しにやってきて…まあ、絵の通りですね、鴨や鶏を仕留めます。

 

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ルールーは美しい自然のなかで、幸せに何不自由なく暮らしています。

特に気に入っているのは 木立の間から仰ぎ見る 黄色く輝く

ええ、月がとっても好きなのです。

月は日ごとに形を変えていき、そのたびに見惚れて倦むことがありません。

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ある日、仲間たちから「森の空き地に集合」と呼び出しがかかります。行ってみると、熱に浮かされたように若者キツネがまくし立てています。

なんのことかと思いきや、この森の地味な生活を捨てて、月へ移住しようというのです。新しい土地で狩りをして冒険をして もっと金持ちに もっと幸せになるんだ、と。

ルールーにも誘いがかかりますが、まったくご免です。自分はここの生活がいいんですから。ところが驚いたことに、両親や家族や、知り合いの全員が月移住に賛成です。そして準備は着々と進み、皆はロケットに乗り込んで出発していきました。

 

ルールーはいつものように、モミの木のあいだから月を仰ぎ見ます。

いつになく蠅のぶんぶんいう音や カッコウのくーくー鳴く声がくっきりと聞こえてきます。いつになく日陰は蒼く涼やかに感じられます。小川には小さな泡がぷくぷくと浮いて輝いてきれいです。

 

孤独なルールーは 月を愛でる歌をうたいます。

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月よ 麗しき月

プラム色の夜のとばり

きみの陽気な黄色が 大好きさ

天空の チーズに あいさつするよ

月よ 月

ぼくは 茶色い垣根を かけ抜ける

クレソンが のどを潤し

苺のにおいが 漂うよ

蜂蜜パイの 月に あいさつするよ

 

 

さて月に行った仲間たちはどうしたでしょうか。

ええ、そうなんです。そこには森も動物も何もなかった。本当にがっかりで悲しくて 涙がこぼれます。

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そしてやはり森に戻ってくるのです。

着地は「池」という約束でした。

 

ルールーは森の動物を集めて、池の周りで待ちます。

こんなにいろいろな種類の動物がいたのか、と思うほどたくさんの動物たちが集まります。  

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 穴熊、ケナガイタチ、カワウソ、テン、山猫、オオヤマネコ、

コエゾイタチ、フェレット、ムナジロテン、

それから年老いたオオカミ赤ずきんを探しているようです

                注:本当に↑このように書いてあるのです。

 

動物が多すぎて全部書きませんが、うさぎやハリネズミまでいますね。

とにかく全員集合でお迎えするわけです。

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 そうしてルールーにいつもの森の平穏な日々が戻ってきました。

月を愛でる生活、里に下りて獲物を捕まえる生活です。

ルールーは 森の生活を満喫しています。(終わり)

 

 

挿絵画家 

Daniele Bour ダニエル・ブールさん。

このかた、フランス人で知らない人はいない。いたらモグリです(笑)って言っていいのではないでしょうか。

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Rencontre. On a retrouvé la maman de Petit Ours Brun

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 このようなくまちゃんが主人公の、絵本やアニメ、塗り絵やグッズが本当にたくさんあるんです。フランス人はみんな小さいころ持っていたはずです。

 

お話を描いた人

 Jacques Chessex シェセさん。(1934-2009)

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L’Ogre de Jacques Chessex | Pasion De La Lectura

スイスの詩人で、フランス語で著作を残しました。

有名な詩の賞をもらった人でもあります。

 

月は遠くにありて愛でるもの

この話のテーマでしょうか。

 

f:id:cenecio:20170126102042p:plainf:id:cenecio:20170126102154p:plainWIKIより

 

現代の私たちがこの本を読んでもおもしろくないのは、1970年代の「宇宙」や「月探検」への憧れを共有しないからです。

スイスの詩人さんはこのブームを冷ややかに見つめ、今の暮らしの良さを、地に足のついた平穏な日々を送れるしあわせを、子どもたちに見つめなおしてもらおうと思ったのでは。子どもと話しながら反応を見ながら読むのでしょうか。

 

それにしても饒舌な本でした。私があまりにざっくりまとめすぎて、うまく伝わらなかったこと、お詫びします。

 

 

 

『森は生きている』 -2-

前回の『十二の月たち』の続きになっています。

 

このスラブ民話は、日本でもいろいろな形で知られています。

たとえば私の世代の人間は『森は生きている』(ソ連、1943年)という戯曲作品として知っています。

学校劇でこれをやった人たちもいます。

また子供向けの劇団公演を見たことがある人もいますね。

多くの人はまず、岩波のこの本を思い浮かべるでしょう。1953年発行です。

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森は生きている (岩波少年文庫) 
サムイル マルシャーク (著), Samuil Marshak (原著), 湯浅 芳子 (翻訳)

 

こちら、ナンさまが前回記事に寄せてくださったコメントです。

ナン (id:majyonan)

このお話、大好きです。暗い森の中で火を囲んでいる12の月たちに出会うシーンほかとても印象的でした。わたしはマルシャーク「森は生きている」を岩波少年文庫で読みました。懐かしいです。出久根育さんの挿絵の作品もぜひ読みたいです。ご紹介下さりありがとうございます。

1日前

 

 

『森は生きている』はけっこうドタバタしているんです。

継母や姉、わがままな女王や彼女に振り回される付き人たちなど、登場人物があまりに滑稽に描かれるので、子供たちもクスクス笑い、かと思えば高価な褒美がたくさん出てくるため、子供たちも目をまん丸くする。速い展開に引き込まれ、最後に主人公の女の子が誰と結婚するかわかった時には満面の笑顔です。ユーモアに溢れて、とっても楽しめる作品です。

 でも今の子供たちはどうなんでしょう。おもしろく思ってくれるのかなあ。

 

指輪をもらうシーン

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こんな風に歌もたくさん挿入されています。

ロシア語はわかりませんが、訳者はよく訳しているんじゃないかと思います。

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ままむすめ(絵本ではマルシュカ)が誰と結婚するか、ここでちょっとわかってしまいましたね。すみません。

 

アニメ映画

1980年には『世界名作童話 ・森は生きている』というタイトルで、「東映まんがまつり」枠内で公開されました。

 

www.youtube.com

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主人公ままむすめの声は大竹しのぶ。一月の月は小林清志、そのほか兵士の声が役所広司とか、豪華ですね。

 

『森は生きている』の作者

サムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャーク(Samuil Marshak 1887-1964)

ロシアでは有名な児童文学作家です。ユダヤ人だったけれど、非常に才能豊かだったので特別待遇を受け、創作活動に打ち込めたそうです。

原題は『十二月』(ロシア語: Двена́дцать ме́сяцев)。

f:id:cenecio:20170103125447p:plain現代のロシア語の本。http://read.ru/id/3709424/

 

マルシャークは多くの作品を書きました。

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子供たちのアイドル。

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Самуил Яковлевич Маршак. - ЯПлакалъ

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切手にもなっているほどの人なんですね。

 

いろいろな翻訳+挿絵画家のバージョンがあります。

たとえば

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森は生きている―12月(つき)のものがたり (斎藤公子の保育絵本)  – 1986/12
マルシャーク (著), 斎藤 公子 (編集), エリョーミナ (イラスト), 林 光、出版社: 青木書店

 

民話や昔話には、意地悪な継母や醜く性格の悪い姉(たち)が出てくる話がたくさんありますね。最後は罰がくだって、ちょっぴりかわいそうな羽目になります。

『森は生きている』で作者マルシャークは継母と姉をどうすると思いますか。なんと、犬に変えてしまうんです。三年という期限付きでね。心を改めたら人間に戻してやることになっています。

どうですか、この結末は?私は二人を気の毒に思い、ほかの解決法があるでしょう、と思っていました。離れたところに住まわせるとか、ダンナさんを見つけてやるとか。(←余計なお世話?)

 

 『十二の月たち』はこれで終わり。 

おつきあい下さり、ありがとうございました。

十二の月たち -1-

有名な民話です。

といっても日本ではどうでしょう。どのくらい知られていますかね。

人によるかもしれません。そのことはあとで説明します。

ロシアやチェコ・スロバキア地方では広く知られる民話で、様々なバリエーションが存在します。ちょうどシンデレラや赤ずきんと同じように、地域や国によって細部が異なるんですね。

 

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十二の月たち

(世界のお話傑作選) 大型本 – 2008/12
ボジェナ ニェムツォヴァー (著), 出久根 育 (著, イラスト)  偕成社 (2008/12)

 

挿絵の出久根 育さんには心底驚かされます。

前にこちらの本を扱いました。

cenecio.hateblo.jp

cenecio.hateblo.jp

同じ人の絵とは思えないですね。

シュールな『あめふらし』は何度も何度も読みました。いえ、絵を鑑賞しました。中毒性があるようです。

この『十二の月たち』は ボジェナ・ ニェムツォヴァー(Božena Němcová、1820 - 1862)というチェコの女性作家の再話です。(ニェムツォヴァーは岩波の『おばあさん』がうちにあり、学生時代に読みました。下のほう、参照のこと)

 

 『十二の月たち』のはじまりはこうです。

心のきれいな、そしてとびっきり美しい娘マルシュカは、森のなかの一軒家に継母と姉と三人で暮らしています。

はは~、なんとなく話がみえてきたなと思うでしょう。その通りで、継母は自分の娘は可愛がりますが、家事やきつい労働は全部マルシュカにさせます。それどころか何とかして追い出そうと企みます。

一月のある日のことです。

「マルシュカ、山からスミレの花をつんできてちょうだい」と言いつけます。こんな一月の雪の中にスミレが咲いているわけないのですが、摘んでもどらないとただじゃおかないよと言われます。

寒さに震えながら、山頂までやってくると、たき火が見えるではありませんか。そしてまわりを囲んでいるのは…。

 

表紙の絵から想像がつくように、12人の月がいたのです。一月の月は白い髭をたくわえ、杖を持つ、威厳に満ち満ちたお方です。マルシュカがわけを話すと、三月の月(こちらは青年)を呼びます。

 

 絵の左が三月です。

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このように話は進んでいきます。

興ざめするので筋は言いません。

ストーリーと絵を楽しんでください。

 

絵を見て最初に感じたのは、宗教画みたいだということ。

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キリストや使徒たち、長老や賢人ふうの老人もいれば、フラ・アンジェリコの絵に出てきそうな天使も。

 もうひとつの大きな特徴は厳しい自然です。過酷な冬の風景、雪や風で凍った景色、何百と描き込んだ針葉樹などが雄大に描かれています。

出久根さんはチェコにお住まいなので、あちらの自然をよく観察していると思いました。

 

 

参考:

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おばあさん (岩波文庫 赤 772-1) 文庫 – 1971/9/16
ニェムツォヴァー (著), 栗栖 継 (翻訳)

 

わがやにあるのは1977年5刷りです。

はてなでこの作品に触れている方がいらっしゃいましたので、貼っておきます。

ボジェナ・ニェムツォヴァー作『おばあさん』(栗栖継訳)を読む - edel_weiss306の読書・旅日記/

 

著者

ボジェナ ・ニェムツォヴァー(ウィキペデアより)

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チェコ語の本の挿絵。ニェムツォヴァー博物館より。

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BABIČKA | Muzeum Boženy Němcové

 続きます

 

 

お知らせ

前回の記事『水の中のナイフ』ですが、片付けをしていたらポーランド映画祭のパンフレットが出てきました。写真を載せてあります。よかったらご覧になってください。

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